今週月曜日は「敬老の日」でしたが、高齢者の運転免許についてはさまざまな議論を呼んでいます。自主返納を働きかける、ということもなかなか難しい状況ですよね。そんな「シニア・ドライバーの運転事情」、世界のあの国ではどうなのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

⚫️「シニア・ドライバーの事故は問題になっていますか」という質問です

フィンランド・エスポー 遠藤悦郎さん

「」

アメリカ・フロリダ 大西良子さん

「特にフロリダでは日本と同様に問題になっています」

⚫️ フィンランド・エスポー 遠藤悦郎さん

Q シニア・ドライバーの免許更新のハードルはあるのですか?

以前は18歳でとった免許が70歳まで有効だったりして、なんとも凄まじい状況でした。しかも45歳になった時に一度視力検査に呼ばれるだけで、実質70歳まで一切チェックなし。今でも2012年までに取得した、いわゆる普通免許は70歳の誕生日まで有効です。現在はEUとの整合性などもあり、2013年取得分からは最長15年間に有効期限が「短縮」されました。高齢者については70歳になった時に最初の健康診断があります。その後は最長5年間有効の免許が更新され、その都度医師の診察が必要で、視覚、運動能力などのほか、認知記憶もチェック項目です。

Q かなり寒いだけに運転には気をつけなければならないと思うのですが。

一年の半分を冬タイヤで過ごし、運転免許取得にも、滑りやすい路面のテストがあるなど、もともと滑りやすい路面での運転テクニックはみな習得しています。フィンランド国土の広さが日本とほぼ同じなのに、人口は550万人と日本の20数分の1。地方の町や村は、公共交通機関網は圧倒的に少ないので、移動の自由という意味では免許証は大切です。とにかく冬はマイナス20-30度になる国、命にもかかわるので、自動車の移動は欠かせません。高齢者の実地試験を課すという案も出てはいるようですが実現には至っていません。

⚫️ アメリカ・フロリダ 大西良子さん

Q 高齢者が多いフロリダでのシニア・ドライバーの実情はどうでしょう?

州によって免許更新制度は違うのですが、ある一定の年齢に達すると、オンライン更新ができなくなったり、免許の有効期限が短くなったりします。フロリダ州では79歳まで年齢による規制がなく、80歳から免許更新時に視力テストが加わり、8年間有効の免許が6年になるだけで、他の州にくらべると規制が「ゆるやか」。シニアの人権に配慮した対応です。ただこうした「シニアにやさしい」環境のフロリダは、実は、シニアの運転による死亡事故が全米で最も多い、ワーストの州なんです。3人のドライバーのうち1人がシニアと言われています。認知症のシニアが家族の知らないうちにハンドルを握り、運転徘徊してしまうケースもよくあり、高速道路の電光掲示板に「Silver Alert」と表示され、ナンバープレートと車種などを見たら通報を、という呼びかけがあるのも日常の風景です。

Q 免許返納など対策の動きはあるのでしょうか?

日本と違って、ある一定の年齢になった人が免許証を自主的に返却するというのはあまり聞きません。免許証が身分証明になるので、事故や交通違反をして免許取り消しにならないかぎり、自分の権利としてキープしていることがほとんどです。1980年ごろからシニアが長距離運転しなくてもよいようなシニア専門の住宅コミュニティー作りをする動きが各地で見られています。よくあるのは、ゴルフ場の隣に作られた一軒家が並ぶコミュニティーで、移動手段はゴルフカート。ボウリング場やジム、テニスコート、スーパー、病院、老人ホームなどもすべて敷地内にあるというユートピア。多くの場合、住宅購入に関して55歳からがシニア扱いで、こうしたシニア向け住宅が購入できるようになります。