明日から三連休。ご実家でゆっくり、という方もいらっしゃるかもしれませんね。ところで、あなたのお家に代々伝わる家庭料理、ありますか?地元の食材や調理法、そして味付けなどなど、親から子へ、自然と受け継がれていくのが家庭料理。そんな「家庭料理の伝承」、世界のあの国ではどうなのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

「家庭料理は伝わっていますか」という質問です。

韓国・ソウル オム・キフンさん

「ここ最近は少なくなっているかも知れません」

イタリア・ローマ 村本幸枝さん

「都会では特に伝わっていないと思います」

韓国・ソウル オム・キフンさん

Q どんな機会に伝統の料理を伝えるのでしょうか?

A:10月4日韓国は秋夕(チュソク)といい祖先祭祀や墓参りを始めとする行事が行われる重要な祭日であります。祭日の中でも正月と共に最も重要なものとされる秋夕は前後の日と合わせて3日間が祝日。家庭では全家族が晴れ着に着替え、親戚同士で集まり新穀でつくった酒と秋夕特有の松葉蒸し餅や、ナツメ・栗・柿などの、新たに採れた果物を祖先の祭壇に供えて祀ります。この連休に皆で集まりソンピョンや焼き魚、水キムチ、お肉の揚げ物、チャプチェ(春雨)などの作り方を親戚に教えてもらいながら、一緒に作って食べたりします。

Q 最近はそうではないのですか?

A: 小家族が多い最近では秋夕にも関わらずチマチョゴリを着て親戚で集まることが少なくなっています。休日だということで、親戚がみんなで集まるわけではなく、家族でどこか遊びに行ったり普通の休日のように過ごしている人が多くなっています。家族と離れてソウルに上京して一人暮らしをしている人も多いので一人用に秋夕の料理を作って食べる人も少なくありません。

イタリア・ローマ 村本幸枝さん

Q マンマの味、というフレーズのイタリアでも伝承が行われないのですか

A:1〜2世代前のこと。現在、ほとんどの家庭は共働きで、子供が小さいうちでも産休後はベビーシッターなどを雇い、女性が職場に戻るのは当たり前のこととなっています。学校から帰った子供たち(娘たち)はお母さんの手伝いをして、その家の料理が娘たちに伝わっていきました。例えば、お母さんが手打ちパスタをつくり、それを子供たち(娘たち)が手伝うのは、日曜のランチの日常風景だったようですが、今では手打ちパスタをつくる家庭はほとんど見られません。世代によっては、下手すると、そのお母さん自体もその母親から料理を習っていない、というケースが多々あります。

Q このままでは家庭料理、郷土料理自体が消えてしまいますよね。

A:危機を感じて立ち上がったのが、スローフード協会などに代表される食機関や地方自治体で、小学校へ出向いてその地方の郷土料理を学ばせる食育を行ったり、その街のお年寄りを集めて、昔ながらのレシピを収集し、本にまとめて配ったりしています。友人を招待して食事を振る舞う食事会やホームパーティも盛んですし、昨今の男性の料理ブームも手伝って、男性も台所に立つようになりました。

イタリアの郷土料理はおいしいところを持っていく貴族のものではなく農民がその土地で採れる残りものを工夫して、美味しく調理した料理がベースになっています。ヌーベルキュイジーヌに疲れた人たちが郷土料理やマンマの味に回帰する動きもあるので、現在、家庭料理や郷土料理は注目されています。