夏休みもそろそろ終盤ですが、鉄道での旅行をされた方も多いと思います。その昔には一般的な寝台特急や新幹線にも食堂車がありました。旅のスタイルが変わって、それらがなくなった今は、豪華に周遊する特別列車をはじめ、「レストラン列車」など趣向を凝らしたものが人気です。さて、世界のあの国での「グルメ列車事情」はどうなのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

⚫️「グルメ列車はあるのですか」という質問です

アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

「一般的には衰退傾向の鉄道ですが、ワインの産地にあります」

イギリス・ロンドン 川合亮平さん

「超高級な特別列車がスコットランドにあります」

⚫️アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

Q そもそもアメリカでは、国内の移動手段として鉄道を使うことが少ないですよね?

A 蒸気機関車が全盛時代だった第2次世界大戦前は、豪華な食堂車や展望車がステータスとしてもてはやされたのですが、自動車が普及して全米に無料高速道路網「インターステート」がはりめぐされ、飛行機での国内移動が一般化してますます鉄道離れには拍車がかかっていますので、食堂車はおろか「テーマのある鉄道の旅」というのはほとんどないのですが、そんな中で目を引くのがカリフォルニアのワインの産地を走る列車です。

Q どんな列車なのですか?

A: 「ナパ・バレー・ワイントレイン」というもので、アメリカ最大のワイン生産地ナパ・バレーの「ナパ」と「セントヘレナ間」往復36マイルを、およそ3時間かけてゆっくり走る列車の旅で、鉄道が花形だった時代の1915年製造のプルマン式といわれる寝台列車をリストアして使っています。列車は、ノーザンパシフィック鉄道で使用されていたもので、ウッディなパネルと真鍮を多用した内装が特徴です。3時間で、ワイン付きのコースメニューが供されてお一人様146ドル。奮発して221ドル出すとガラス張りの二階席が取れるので、日本からのお客様には、せっかくなのでこちらを推奨しています。見渡す限りのぶどう畑を眺めながらのんびりと走る列車の中で、在りし日の豪華鉄道旅行を思い描きながらカベルネ・ソーヴィニヨンに舌鼓を打つ、これほど贅沢な時間はないのではないでしょうか?

⚫️イギリス・ロンドン 川合亮平さん

Q どのような列車なのでしょうか

A 「ロイヤル・スコッツマン」と呼ばれるその列車は、country house on wheels.つまり、「線路の上の貴族屋敷」と表現される、究極のラグジュアリー旅行ですね。アメリカと同じくプルマン式と呼ばれるヴィンテージの寝台車両を改装していますが、20世紀初頭の英国ジェントルマンズ・クラブのようなクラシックで豪華な内装の列車で旅を楽しみます。ルートはいくつかヴァラエティがあるんですが、主にスコットランドで、車窓から楽しむスコットランドの大自然がこの列車の魅力の1つです。毎年、4月から10月の期間、運行しています。日本の高級な特別列車のように価格はもちろん安くはないですが、それだけ価値のある経験だと思いますし、今はポンドが比較的安いので、狙い目ですよ。

Q 肝心のグルメですが、そこにこだわりがあるのですか。

A 食事は、ロイヤル・スコッツマンのハイライトといえると思います。スコットランド地元の新鮮素材にこだわった一流料理がフォーマルな雰囲気の中、堪能できます。例えば、地元アバディーンのアンガス・ビーフや、天然のスコットランド・サーモン、ムール貝をはじめとしたスコットランドの新鮮な魚介類、そしてもちろん、忘れてはならないのが、スコットランドの蒸留所から直送されたスコッチウィスキーですね。ちなみに、旅のアクティビティとして、スコッチウィスキーの蒸留所見学ツアーが含まれているコースも少なくないです。