男性の育児休暇。いろいろと物議を醸した事件もありました。日本では制度そのそのものが認知されていても、まだまだ実際には企業で導入されていない、取りづらい、ということがあるかもしれません。さてあの国での「男性の育児休暇事情」はどうでしょうか。今朝も2つの国のお二人にコネクトしてお送りします。

「男性の育児休暇の制度はありますか」という質問です。

韓国ソウル ヤン・ジョンミさん

「あります」

カナダ・バンクーバー 窪田誠さん

「あります」

韓国ソウル ヤン・ジョンミさん

Q 育児休暇そのものはどういうシステムなのでしょうか。

A  韓国は育児休職を法的には3か月から1年まで使えます。子供が8歳になる前まで申請できて、二人以上の子供がいる場合、夫婦がそれぞれ使用できます。休職が難しい場合は勤務時間を短縮する制度も活用することは可能だし、月額最大15万円くらいまでの給料ももらえます。しかし、現実的に男性が育休を使用することはとても珍しく、全体の育休者の5〜6%にすぎません。人数でいうと5千人にも至らない数です。

Q そんなに少ないのですか...。

A  会社に迷惑をかけると考えて、自由に有給休暇が取れる社会的な環境になっていません。何より戻ってきたときに席がなくなるかもしれないという不安も大きいです。そのせいで7割くらいの男性が育休制度を知っているにも関わらず、実際に周りに育休を使ってる人をほとんど見たことがないと答えるのが一般的です。特に銀行の場合、保守的社内雰囲気と企業文化のせいで男性が今まで一人も育休を使ったことがない銀行もあるくらいです。韓国も日本のように高齢化社会が急速に進み、出産率が減ってるなか、国としても出産と男性の育休を進めてますが現実的には仕事場がなくなることを恐れ多くの男性たちが育休制度を十分に活用することができない状況です。

カナダ・バンクーバー  窪田誠さん

Q カナダでの制度はどうなのでしょうか。

A  カナダの育休は基本的に取得開始前の約1年の間に600時間以上働いていることが条件で、最長35週間の間取得前の給料のおよそ55%をカナダ政府から貰うことができます。また育休をとったあとは、男性でも女性でも同じ職種の同じポジション同じ給料で復帰できるのも安心して育休を取ることができます。カナダでは出産前後の15週はお母さんがとることが出来、その後の35週(約9ヶ月)はお父さんでもお母さんでもどちらか一人の取得が可能です。私自身は長男の出産と当時担当していた仕事が、ちょうど2010バンクーバーオリンピックの準備と開催に重なっていしまい、取得が難しかったのですが、会社の男性同僚はそのあと育休をとりました。

Q 制度があることと実際に休むのは別ということもあるのですが

A  フランス語圏のケベック州では給料の7割近くが支給されるとの事で収入が多い男性が育休を取得するケースが多く、なんと8割近いお父さんが育休を取得しているそうです。それだけ男性育休がとりやすい環境ということですね。 私が住むBC州では男性育休取得率は3割弱くらいになっています。今後はこの割合が増えてくると思いますが、ジャスティン・トルドー新首相は育休期間の延長も考えているようで、男女にかかわらず育休をとりやすく会社の理解を得やすい環境に動いていると思います。