4月から環境が変わり、気を張っていた方も、少し緊張が途切れた頃でしょうか?今の時期は、急に気分が落ち込みやすい、いわゆる「五月病」のシーズンですが、海外にも「五月病」ってあるのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

⚫️シンプルに「五月病はあるのですか」という質問です

ロシア・モスクワ 柴田顕さん

A:「社会人ではほぼいないといえるでしょう」

アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

「時期こそ違いますが新入学、就職直後などに気分が落ち込むということはありません。」

⚫️ロシア・モスクワ 柴田顕さん

Q ロシアでは労働環境がよいということでしょうか

A: 基本的にロシアで職探しは基本的に容易で、自身に合わない職場ならば気軽に転職も選べる環境です。良く言えば寛容、悪く言えば雇用条件にルーズというのがロシアの社会でしょうか。

ロシア人にとって職場で特に大事なことは上司に恵まれるかどうか、だそうです。良い仕事を探すよりも、良い上司を探すことの方が難しいと私の友人は笑っていました。ただ、日本人のように上司の言うことには逆らわない、というようなことはなく、不満があるなら例え上司でも怒鳴り合う。というのがロシア人のスタイルです。

不満を溜め込んで我慢するということはしないので、そういったところでも精神的な息抜きが出来ていると言えると思います。

Q 鬱病が多いというのは聞いたことがありますが

A: 確かにロシア人男性は鬱になりやすいと言われています。彼らにとって特に悩まされることは「生きる意味」「誰が自分を必要としてくれるのか」「何の為に働くのか」といった人生のテーマというべき問題ということです。

そういった時にはとにかく周りの人間が励まし、愚痴を聞き、一緒にお酒を飲みに行くことで解消するものですが、ひどい時は心理学者のところに行きます。かくいう私も心理学者の方に相談しに行ったことはあります。

カウンセラーという職業は実はロシアでは一般化されておらず、「基本的にそういうのは心理学者の仕事だね」と友人は言っていました。
ロシア人と日本人の最大の違いは、悩みがあればすぐに周囲の人間に
打ち明けることが習慣化されているかどうかだと思います。

職場では良くも悪くも明け透けなロシア人たちは、自らプレッシャーを増大させて追い込むようなことはしません。

⚫️アメリカ・ニューヨーク 中村英雄さん

Q いわゆるメンタルのサポートは進んでいる気がしますが?

A: 高校、大学などの教育機関にはず、メンタル・サポートのスタッフがいます。コロンビア大学など学内にカウンセリング部門があって100人以上の専従職員が働いています。職場の精神保健支援の場合一番多い相談は、友人のカウンセラーによると、職場内の人間関係をめぐるものだそうです。問題のある部下(パフォーマンスが悪いといったものから、無断欠勤などさまざまです)についての上司による相談も多くあります。うつや不安障害の方はとても多いそうです。軽いうつは女性の1/4、男性でも多くの人が経験すると言われていて、双極性障害や統合失調症といった方も一定数あります。それからアルコールや薬物の相談、家族の心身の病気に関する相談や(認知症、がん、子供の自閉症など)、親子関係に関する相談、ご自身の恋愛やLGBTがらみの相談等も受け付けるとかなり幅は広いようです。

Q: さまざまな相談事の中でカウンセラーの役目はどの辺にあるのでしょうか?

A: その相談事が「疾病」かどうか?診断や治療が必要かどうかを見極めるというところのようです。例えばシックリーブ(病欠)を認めるかどうか、治療のための緊急隔離が必要かといったことも判断が求められます。

そして印象的だったのは、カウンセラーの先生たちが、相談者本人の本来もっている力をのばせるようにエンパワーしようとしている点です。早計に「精神病」の判断をせずに、各方面から病気の可能性があるかどうかを検証して、治療が必要な場合には、必ずエビデンス(科学的根拠)に基づいて行うという姿勢が感じられました。心の病気のように思えても、脳腫瘍や甲状腺が原因だったなんてこともままあるそうですから。