去年11月、東京・田園調布に小さなお菓子屋さんがオープンしました。

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名前は、フランス語でお祝いを意味する 【La Fete】。自由が丘で愛されていたフレンチのデザート部門が独立して誕生したスイーツのお店です。代表の吉井七緒美さんにお話をうかがいました。 

「クラゲストアというフレンチのお店を6年くらいやっておりまして、自由が丘にありました。フレンチというカテゴリーなので予約してきてくださるお客様が多くて、なおかつ何かの記念日とか、そういったときにみなさんでお越しになることが多かったんです。出産祝いとか、大学の卒業祝い、結婚祝いやバースデイもそうなんですが、そういった方がすごく多かったので、お祝いにちなんだものを調べたり、どんなものがいいんだろうと考えていたのが、はじめた一番のきっかけになると思います。」

レストランのなかだけでなく、さまざまなシーンでお祝いのお手伝いをしたい。そんな想いから誕生したのが【La Fete】。テーマは、世界のお祝いのお菓子。

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ものにもうちょっとスポットをあてて、例えばマドレーヌのお店とか、クロワッサンだったらこういうクロワッサンが作りたいとか、ひとつのお菓子を食べてほしくてお店をひらくという方がいまは多いかもしれませんが、私どもの場合は、こういったお祝い菓子全体を掘り下げていって、みなさんにあうようなシーンにお届けしたい、というのが最初でした。」

【La Fete】のスペシャリテ。

『ピュイダムール』というお菓子について、教えていただきました。

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「これはルイ15世がポンパドール夫人という、愛する女性のために専属のパティシエに作らせたものです。パイの器にリンゴのコンポートをしたものをのせ、その上にクリームをつめさせていただいているんですけど、カスタードのクリームに酸味をだすためにサワークリームを入れて、キャラメリゼした上に素敵な飴細工をのせています。ほんとのピュイダムールはサワークリームが入っていなかったり、上の飴細工がなかったり、少し施しは違うんですが、ラ・フェットのお菓子はすべてデザインとして高さを設けることで、華やかさを出したり、見た目の統一感を重視していまして、これは飴細工をのせて華やかさを出しています。」

さらに、お祝いのお菓子をご紹介いただきました。

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「バッテンバーグというのはイギリスの伝統菓子なんですが、パウンドにマジパンのようなものが巻いてある市松模様のケーキになります。世界のお菓子には少し甘目なものもあるので、日本人の舌にあうように甘みを減らしたり、まろやかにしたりということをさせていただいていています。バッテンバーグの場合は、中に入っているあんずのジャムをフランボワーズのジャムに変えて酸味を加えたり、バタークリームを使って甘みを軽減するような努力をしています。

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あと、パーティディダーマというクッキー。こちらは「貴婦人のキス」といわれているものでイタリアのお菓子なんですが、ちょうど食べるときに唇がキスの形に似ているとか、そういう逸話があるんです。なので、うちがオープンしたときにこちらをみなさんにお渡しして、初めての挨拶のキスという感じでやらせていただいたんですが、そちらをのちに、うちの代表のものとして取り揃えさせていただきました。

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ポルボロンは、口に含んでいただいて、3回『ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン』と唱えることができたら幸せになれる、というとっても楽しいエピソードのものがありまして、こちらはスペインのお菓子です。」

【La Fete】のお菓子の特徴のひとつは食感。 食べた時の感触です。

「味と食感のバランスについてはひとつひとつ考えて作っていて、一番最初はパリッときて、そのあとトロッとくる。そして、最後はサクサクッとしめるとか、そういう順番を楽しんでいただけるものを考えています。ピュイダムールや半生チョコレートは食感を楽しんでいただけるものですし、ポルボロンももともと口溶けのいいものなんですが、中にナッツが入っていて、そのナッツの大きさは残ったときにどのくらいの大きさだったらより楽しんでいただけるのか、そのあたりまで考えて作っています。」

ひとつのお菓子のなかに、スタッフのみなさんのアイディアが練り込まれています。そして、口のなかで広がるのは、きっと、祝福のメッセージ。

「さまざまなお祝いをするシーンでみなさんにより楽しんでもらう機会をもっと増やしていただくために存在できればいいなと思ってます。どちらかというと、こういうことを楽しんでください、というより、お店としては、ぜひ一緒に楽しませてください、という想いのほうが強いのかなと思います。」

喜びのそばに寄り添うスイーツ。それをつくるのは、とても楽しいこと。

いくつもの笑顔を想像しながら、きょうもお菓子づくりが続きます。

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  • ラ・フェット
  • 東京都大田区田園調布2-22-2 田園調布プラネット 102
  • 電話 03-6459-7937