久保田利伸さん、キャリア初のライヴアルバム『3周まわって素でLive! ~THE HOUSE PARTY!~』この作品について久保田利伸さんご自身に語っていただきました。まず最初の質問。なぜ今、ライヴアルバムをリリースしようと思ったのでしょうか?

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そもそもライヴアルバムを出そうとは思っていなかったんですけど、スタッフのほうから『ライヴアルバムはどうですか?』と。僕は、もしかしてDVDについてもスタッフから何か言われるかなと思っていたんですが、毎回DVDの話になると、僕は『カメラのないところで、何も気にしない感じでライヴやってみたいな。』と言っていたんです。特に東京や大阪では本番にカメラが回ってい20170929hidden03.jpgることが多いので、そうじゃない、自由奔放な形でやってみたいということをいつも言うので、スタッフのほうが『音だけ』というのを提案してくれたんでしょうね。その話を聞いたときに、僕は人生のなかで、人のライヴのDVDやビデオを見る機会よりも、ちっちゃな頃から、ライヴの音、いろんなアーティストのライヴの音を楽しんで育ってきて、個人的には断然そっちが多かったんです。」

例えば、Bob Marley、Paul McCartney & Wings、そして何より Donny Hathawayのライヴアルバム。久保田さんは、子どものころから音でライヴを感じてきたのです。だから映像作品ではなく、ライヴアルバム。そして、今回はデビュー30周年の特別なツアーでした。

「30年っていろいろ考え方があって、なんかこう『近い』『生』。あとこの言葉も使ってますけど、『素』。30年たって素に戻って、飾らない、より着込まない、音的にも着込まない、そういうライヴをやってみたい。そういう意味では、お客さんも近くて、小屋も結構ちっちゃくって、というところでパーティをしたいと。インティメートなハウス・パーティをしたかったんですね。

ライヴの前半、オープニングの数曲については、『OPENING JAM』につづいてデビューアルバムのタイトルチューン、アルバムの1曲目であるShake It Paradise』があって、そこに続いてアメリカのデビューアルバムの『Funk It Up』。これもアルバムの1曲目だったんですけど、まず、ここから始まったんだっていうことは選曲としては大きいと思うし、この曲たちはまず一番始めに決まっていました。」

ライヴハウスで、素に戻って演奏を楽しむ。久保田利伸さんとバンドの躍動感あふれるパフォーマンスが続きます。

「本来、ライヴってそういうものですから。そこが楽しいところで、ライヴ演奏と同時にメトロノームやクリックを鳴らす、ということはやらない。その自由さはとっても大事です。当たり前ですけど、生演奏と生歌、それが基本じゃないと、温度が上がらないですよね。決められた70度にしかならないというか、やっぱり100度かそれ以上にするためには、生演奏と生歌、それが大事です。そうすれば何でもできます。」

70度ではなく、100度かそれ以上に。まさに、その夜の熱気で演奏が変化していきます。

「メンバーなんかは僕とやる以外にいろんなバンドでやりますけども、ここ何年も決められた長さと決められた演奏と決められたフレーズをシーケンスにあわせてやることばっかりになってきているので、何年かに一回僕のバンドに戻ってくると、はじめはとまどいますよね。あれもこれも自分で音を出さなきゃいけない。当たり前じゃないかよ!って。でもやってるうちに、ミュージシャン魂は燃えちゃうみたいですね、みんなね。」

もちろん、極上のバラードも。オリジナルは92年のアルバム【Neptune】に収録された『誓い』

「なんでこれにしたかったのかって言葉でうまく言えないんですけど、『誓い』という曲をどうしても歌いたかったんですよ。今歌いたかったんですよ。今年の夏に歌いたかったんですよ。これね、ライヴで多分やったことない。でも、今年どうしても歌いたかった曲です。」

大ヒット曲、『LA・LA・LA LOVE SONG』は、こんな演出で届けられました。

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「基本、演奏が始まってしまえば『LA・LA・LA LOVE SONG』のアレンジなんですけど、その前はやっぱりその日の気分で、お客さんとの空気の作り方次第で、歌のトーンも変わっていくし、そこもちょっとした楽しみです。この曲が出た頃というのは、なんかこう自分の曲であってそうでないような、曲の広がりがものすごくでかい曲なので、自分との距離があるような曲だったんです。でもここへ来て、この曲を歌い続けているなと、俺の曲だなと。きょうも歌える。この曲がある。お客さんがめちゃくちゃでっかい笑顔で見ている、聞いている。だからこの曲がすごく幸せだなと思うんです。歌っていますよ、というんじゃなくて、自分から歌いたくて歌っているという。やっと歌いこなせている、という気が、ようやくしてるんじゃないですかね。」

きょうも歌える。この曲がある。お客さんのビッグスマイルが見える。久保田利伸さんいわく、幸せな曲、『LA・LA・LA LOVE SONG』。幸せな一瞬をとじこめた 最高のライヴアルバムが届きました。