幾何学的な模様や、太陽の光をイメージしたオレンジのストライプ。さらに、花をモチーフにしたデザインなど、アフリカのエネルギーを感じるカラフルな布。この布を使い、ハンドメイドでさまざまなアイテムを作るのがウガンダのRICCI EVERYDAY。設立したのは、日本人の仲本千津さんです。

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2014年の6月からウガンダのほうに仕事の関係で駐在になりまして、その時にプライベートでローカルマーケットに遊びに行ったんです。そこで、すごくカラフルでプレイフルなアフリカ布に出会いまして、これはあまり日本のマーケットに出ていないし、日本の女性も私と同じような感覚で楽しんでもらえるんじゃないか、と思ったのがきっかけで、いつかアフリカ布のビジネスをやりたいなと思っていたんです。」

仲本さんは、NGOの仕事でウガンダに赴任。農業支援の仕事をされていました。そんな日々のなか、ローカルマーケットでアフリカの布に出会います。天井近くまで積み上げられた 色とりどりの布。これを使って何かを作りたい。その想いを加速させる出会いが訪れました。

「誰と一緒にやろうかと考えたときに、ちょうど同じタイミングでひとりのシングルマザーとこちらで出会うきっかけがありました。彼女は4人の子どもを抱えていて、みんなそれぞれを大学まで行かせたいという強い想いがあったんですけど、彼女にはまともな職がなかったんです。それなら教育を受けてない彼女のような女性であっても、子どもを大学まで行かせられる稼ぎを得られる、安定した職を私の方で作れないかなと思いまして、こちらでブランドとして立ち上げて彼女を雇用するという形で始めました。」

ウガンダの女性に、安定した仕事を。仲本さんは、小さな工房をつくりそこで商品の試作が始まりました。

「今もうちの人気商品になっているAkellobag 4wayというバッグなんですが、4通りでお客様に使っていただけるバックを作っています。普通に持ってハンドバッグ、折ってクラッチバッグ、横にある取っ手にストラップをつけてショルダーバッグ。そして、ストラップを2重につけてトートバッグ。この4通りです。もともと、一般的に百貨店さんセレクトショップさんなどで売っているクラッチバッグは結構小さめのサイズのものが多くて、私はものを結構入れるタイプなので、もう少し大きめのクラッチバッグがほしい、というのがあったんです。そこで、まずは広げたらハンドバックとして使えて、折ったらクラッチバッグというバッグをデザインして、それを友人に見せたところ、横のほうに取っ手を付けたら4通りで使えるバッグになるじゃないかというアイディアをもらいまして。そのあとまた試行錯誤して4通りのバッグを考案するに至ったという流れなんです。」

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RICCI EVERYDAYの人気商品、Akellobag。

「Akelloというのは、実は私がウガンダに来て最初のころに、こっちに暮らす女性からもらった私の名前で、いいものを運んでくるという意味があります。すごく素敵な名前だなと思って、それを一番最初のバッグの名前につけました。布は私がローカルマーケットに行った時に業者から買い付けていて、通常、布のバッグだとすごく柔らかくてふにゃふにゃしているものが多いんですけど、うちのバッグはその裏に芯材を貼ってパリっとするデザインにしています。最近は在庫切れが多発していてそこまでバリエーションをそろえられていないんですが、多いときですと70種類くらいをそろえてお客様に提案しています。ローカルマーケットに行くと、数百種類、数千種類くらい布が積み重なっていて、そこから日本人の好みにあいそうなものを私が選んで、バッグにするという流れになっています。」

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ウガンダ人10人をスタッフに迎え、カンパラの中心部から車で20分ほどの工房で バッグづくりがおこなわれています。

仲本千津さんに、最後に教えていただきました。最初のきっかけとなった女性、ナカウチ・グレースさんのその後について。

今では中心的な存在として働いてくれています。最初、彼女を雇おうと思ったときには彼女自身には何もスキルがなかったんです。例えばミシンを使ったり皮を縫ったりとか、そういうことはやったことがなかったんですけど、あるとき皮を縫う作業を彼女に教えたらそれがあっていたみたいで。メキメキ能力を発揮して、今ではきれいにスピーディに縫えて他の人にも教えている、というような状況です。いま10人のウガンダの人を雇っていますけど、それが20人とか30人になって、彼女たちが安心して継続的に働ける場所をどんどん提供していきたいなと思っています。」

ウガンダは失業率が高く、とりわけ女性は教育を受けたり、安定した仕事に就くことが難しい状況にあります。そんな中、女性たちが技術を身につける場所。あるいは、今まで気づいていなかった才能を発見する場所。それが、日本からやってきた女性によって作られました。心が豊かになる毎日をRICCI EVERYDAYの挑戦は続きます 。

RICCI EVERYDAYのバッグについて詳しくはRICCI EVERYDAY公式ウェブサイト