今回ご紹介する「シブヤビール」を作ったのは、食品メーカーではなく、音楽事業を手がける LD&Kという会社です。日食なつこ、かりゆし58、ガガガSP、羊毛とおはな。 素晴らしい音楽を届け続けてきた LD&K。飲食事業としていくつかのお店を運営していますが、そのひとつ、渋谷の『宇田川カフェ』でシブヤビールの発案者、水野直人さんにお話をうかがいました。そもそものきっかけ、どんなことだったのでしょうか?

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「ちょうど3年くらい前にクラフトビ―ルがくるんじゃないかな、ということがあリました。うちの会社LD&Kって音楽もそうですが、お店もやってたりとかフレキシブルなところもあるので、やりたいことを言えばやらしてもらえるんです。ある日、自分がプライベートで飲みにいって友達とかと話しているときに、それこそアパレルの友達とか多いんですけど、アパレルとかってそういうの早いじゃないですか。ブルックリンのほうでそういうのがあるよって。水野君の会社でどう?みたいに言われて、その気になって。自分もCDのパッケージはむちゃくちゃ作ってきたんですけど、ビールのラベルは作ったことがなかったので、やってみたいなと思って。」

「シブヤビール」のアイディアを思いついたのは、CDのジャケットのデザインなどを担当してきた水野直人さん。もちろん、ビールを作ったことは、ありませんでした。

最初はいきなり商品としてはできないので、小ロットの手作りビール体験みたいなのがあるじゃないですか。自分たちで栃木のほうまで行って、ビールの用意はしてもらえるんですけど、入れたいものを持って来てください、ということだったので、そのときにマカとか、うちコーヒーはオリジナルブレンドなんですけど、コーヒー豆を持って行って試して。それをまず2014年の10月オクトーバーフェストにあわせて作って、限定40何本だから飲みに来てくださいね、というイベントにしたんです。それでマカのビールとコーヒーのビール、どっちがよかったかというと、コーヒーはあるよね、でもマカはないよねっていう感じでした。ただ、自分たちで作ったので、そのころはもうマカが効いたらいいだろうみたいな。今は商品用のバランスでおいしく飲めるようになってますが、その作りに行ったときもこのくらいじゃないですかって職人さんに言われたんですけど、持って行ったもの余らせても使い道ないんで全部入れちゃって。だから最初作ったときはマカが沈殿してる感じでしたね。」

最初は、手作りビール体験から始まったビールの試作。その後、神奈川県厚木市のサンクトガーレンというクラフトビ―ルメーカーの協力を得て、いよいよ本格的な製造に乗り出します。ペルー産のマカ、そしてもうひとつのポイントは、グレープフルーツのフレーバー。

「僕はビールを作っているわりにはビールがそんなに飲めないので、飲む時にはグレープフルーツジュースで割って飲んだりしていたんです。で、いいなと思っていて。ちょうどたまたまのタイミングで、宣伝会社というかプロモーション会社の方で、フロリダのグレープフルーツを広めたいという方がいて、それを使ってくれたら2ヶ月間無料で提供しますよって。今はもう買ってるんですけど、そのときは無料だったんで、それを工場の人に渡して。」

いくつかの偶然に導かれ、2015年の4月28日、シブヤビールが世に出ました。実は、この4月28日という日付、意図したものではなかったのです。

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「発売日は、特に意識せずに4月28日って決めたんですよ。本当はもう少し前にしたかったんですけど、お店のオープンとかあったりしてどたばたして、だったら4月28日にしようかって。そしたら他の会社の人に『これって狙ってやったんですか?』って言われて『え?何ですか?』って。そしたら『これって渋谷の日ですよね』と。『うわー本当だ!』、じゃあニュースで使おうっていうことで、4月28日渋谷の日にシブヤビールというふうにやったらプレスとかも決まって。狙ってなかったんですけどたまたまうまくはまったんです。シブヤビールは発売から2~3ヶ月で何万本とからしいです。この2年で10万本くらい消費しているんですよ。それってクラフトビ―ルの世界では大ヒット中の大ヒットだと思うので。」

さらに今年は、シブヤビールの曲もできました!

「うちの会社のバンドというか、宇田川カフェ別館というお店があるんですが、そこの店長がやってる宇田川別館バンドというバンドが本格的なバンドで、シブヤビールの歌を作ってくれてCDリリースになったんです。いま、シティポップがきてるじゃないですか。Suchmosとかそういう流れもあったりして、東急のフードショーのところでゲリラ的にライヴやりましょうよっていう感じで。4時28分に乾杯!ってやってからライヴをやるっていう。

シブヤビールは新しいシブヤ系みたいな。レコード屋さんがなくなって、ギャルもいなくなって、渋谷のカルチャーが割りと弱くなっているかなというのもあって。じゃあ、ビールみたいなものでどうかなと。あと渋谷っておみやげがないんですよ。例えば原宿でいえばクレープがあったりとか。これがそうなればといいな、と。」

シブヤビールの発案者、LD&Kの水野直人さんは最後にこんなことを話してくれました。

いま、SNS上で連絡はつくけど、人ってなかなか会わないじゃないですか。僕ビールってソーシャルドリンクだと思っていて、ビールとコーヒーは『飲みに行こうよ』ってなる。『飲みに行かない?』みたいな。だから、シブヤビール飲みに行こうよ、みたいな感じで、飲みに行くきっかけになって、エナジーなんで、愛が生まれればいいなっていうことで、ラベルにもハートのマークが入ってたりするんです。」

ビールは、誰かと、『飲みに行こうよ』となる飲み物。シブヤビールを飲みに行こう。そんな会話をきっかけに、渋谷の街で、誰かと誰かが仲良くなる。シブヤビールは、2017年4月28日で誕生から丸2年です。シブヤビール開発チームと東急百貨店がタッグをくみ、4月28日『渋谷の日』にイベントが開催されます!詳しくはシブヤビールのフェイスブックページをご確認ください。