創刊以来、海外のアーティストを追いかけている洋楽雑誌『INROCK』。

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まずは、取材で見えてきたエド・シーランの人柄を、発行人の加藤有子さんに教えていただきました。

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「今も昔もほとんど変わってないんですけど、基本的に、自分のことを話すのがあまり得意じゃないんです。だから、前回の取材のときすごく困ったのは、質問しても、『そうだよね。(ニコ)』。答えるよりも笑顔で答えてくれる、そこをうちは言葉で欲しいんだけど、という。今回は前よりもずっとしゃべってくれたんですけども、取材慣れしてきたせいか余計なことはしゃべるまい、というのはすごく感じましたね。でも別にプライベートなことを話すのも全然構わない。」

2014年にリリースされたアルバム『×』に収録された"Thinking Out Loud"。エド・シーランは、この曲で第58回グラミー賞 『Song Of The Year』を獲得。まさに世界的な大スターとなりました。そしてこの直後、エドは長い休暇に入ります。

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「エドは2年前か1年半くらい前に、1年間休みをとって日本来てたんですよ。日本だけじゃなくて、いろんな国に行っていたんですけど、日本にも来ていて、日本には4週間いたんです。そのとき彼の最愛のガールフレンド、チェリーと一緒にふたりだけで北海道から沖縄までずーっと回ったんですね。今回のアルバムでその彼女のことを何曲も書いているんですけど、彼女のことは自然に話していました。幼なじみで、11歳のときに知り合って同じ学校に通っていたんですけど、彼女はそのあとアメリカに引っ越しちゃったんです。エドはエドで16歳からツアー生活が始まっちゃったので、恋愛まで発展しなかったんですね。それがここ数年前に再会して、ほんとに劇的で、とってもお互い大事にしあってるみたいです。ほんとにそういうのがエドらしいと思うんです。ファッションモデルでもなく、有名女優でもなく、一番いっしょにいて自然でいられる相手。」

イングランド東部、サフォーク州の小さな町、フラムリンガムで育ったエド・シーラン。恋人 チェリーは、幼なじみ。そして、ニューアルバム『÷』に収録されている"Castle On The Hill"は、地元の友達を歌ったナンバーです。『÷』は、スモールタウンの、ひとりの青年が作ったアルバムなのです。  

このアルバムのコンセプトは愛であると。家族に対する愛、友達に対する愛、恋人に対する愛、すべてに対する愛だと言ってますね。プラスして故郷に対する愛もあると思います。故郷のサフォークにもすごくいいお家があって、そこにスタジオを持っているんで、今回は随分たくさんそこで仕事をしたみたいです。この人らしいですよね。絶対大きい町じゃないですよ。私、イギリスに5年くらい住んでいましたけど、サフォークは聞いたことがあっても、町の名前を聞いてもピンときませんでしたもん。人間らしいですよね。すごく肌のあったかさが伝わってくるような作品になっていると思います。」

洋楽雑誌『INROCK』での取材秘話も教えていただきました。写真撮影前の会話で明らかになったこととは・・・?  

この人の左の脇腹に日本の詩が書いてあるんです、いれずみで。6行くらい、ずーっと書いてあるんですよ、はじめ和歌かなと思ったら、日本語の詩だったんです。それが、おなかをぺりーっとめくって見せてくれたんですけど、あとで写真を撮らせてくれって言って、だから私きっちり見なかったんですね。写真で見ればいいやと思って。そしたら、写真撮影の段になったらマネージャーからストップが入ったんです。これはプライベートだからと。だからしっかり見ていないんですけど、日本語だったことは確かだし、黒い字で6行くらい書いてありました。」

そして、エド・シーランに見る、いい男の条件。 どんなことでしょう?

「エドって日本でめちゃくちゃティーンエイジャーに人気あるんですよ。女の子のファンがすごく多いんですね。彼の写真とかポスターを部屋にはりたい理由って、彼のルックスじゃないと思うんですよ。それよりもエド・シーランっていう存在、彼の才能っていうんでしょうか、そういうのをみんな好きなんじゃないかなと、私は思ってます。こういうルックスであって、それがエド・シーランの曲と存在感、全部ひっくるめてっていうことでしょうか。」

最後にもうひとつ。愛あふれるアルバムのタイトルが、割り算の記号を使って『÷(ディバイド)』と名付けられたのは、なぜだと思いますか?

「自分の愛をいろんなところに分けるということでしょうか、彼は愛の人なんで。」

イギリスの小さな町の"愛の人"。海外のミュージシャンを取材し続ける編集のプロは、エド・シーランを、そう表現しました。 

『彼は、愛の人。』

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