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コーヒーをドリップするのと同じように、ハンドドリップで日本茶を提供する。使う道具はコーヒーと同じように、円錐形を逆さにしたもので下にお茶が落ちる仕組みです。

通常、日本茶は急須にお湯をそそぎ少し時間を置くように思いますが果たして、この道具で美味しくお茶がいれられるのでしょうか?

白いドリッパーにステンレスの茶こし。そこに茶葉を入れ、お湯を注ぎます。お湯が、すぐには下に落ちない仕組みになっているのです。

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谷本さん:お湯を注いだら、蒸らし時間を1分20秒とります。1分20秒専用の砂時計を特注していまして、砂が落ち切ったところでお茶が抽出されています。このドリッパーはほぼ落ちないようになっているので、お湯をためてお茶の茶葉をひらかせます。この蒸らし時間をとることによって、お茶が出ますので、いわゆるドリッパーのように全部落ちてしまうというよりかは、蒸らし時間を任意のところでレシピの時間どおり蒸らして、一気にお湯を落として作る、というような作り方です。いわゆる急須でいれるとふたをしているのがこのタイミングで、茶葉がひらいていっている、動いている様子が、このドリッパーだと見えるんです。上から茶葉の具合の違いだったり、葉っぱがひらいているところを見ていただいて楽しんでいただける、という風になっています。

一煎目はワイングラス型の器にはいっています。低い温度でいれているので、アミノ酸の成分がでて甘みとか香りを楽しんでいただくお茶なんです。だらか、こういう形のものを使っています。」

白い壁に、コの字型の木のカウンター。従来のお茶のお店は、デザインに 緑色を取り入れたものが多いのですがその緑からは離れ、"白"がベースの店内。カウンターに置かれた木のプレートに、白い器。その中に、いれたてのお茶。このお店を手がけたのは、それまで、お茶の世界に関わったことがないふたり。

デザイン会社 LUCY ALTER DESIGNの青柳智士さんと谷本幹人さん。

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「谷本さん:僕たちはデザイン会社として、製品・商品をグローバルに売っていきたいと思っていて、その中で、お茶というのがグローバルでこれから活躍できるものなんじゃないかなと思って始めました。

青柳さん:お茶の持つポテンシャルというのが、ソフトの茶葉にもあるし、その入れ物、入れ方、というところにおいては、デザインの余白がかなり残されていたんです。あまりにトラディショナルスタイルなので、海外の人たちからすると、日本茶を研究するときに茶葉の研究はあるんですけど、入れ方や入れ物については、茶道とかのほうではやりますが、茶葉についてのアプローチを僕らは未だかつて見たことがなくて。ここってチャンスなんじゃないの、というのが、テーマとしてありました。」

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日本茶には、入れ方や入れ物という部分で、まだまだデザインできる余白がある。そんななか、ひとつのアイディアが生まれます。

谷本さん:僕自身は元々コーヒーが好きで、いろんなカフェとかコーヒーの産業はよく見ていたんです。そのなかで、日本茶ってすごく本来はモダンなというか、日常に潜む製品なのにもかかわらず、結構、前時代的なというか、古いタイプの文化しかないなと。あとは、いわゆる飲料文化としてコーヒーのようなお茶のスタイルっていうのはあるんじゃないかなという風にはそこで思ったんです。バリスタがコーヒーをいれるのはおもてなしだなと考えていて、通勤のときに飲むコーヒーが日常のなかで癒される空間であったり、コミュニケーションだったり、そういうところに日本のおもてなしが形を変えて残ってるんじゃないかなと。ドリッパーの所作でお茶をいれる、というのがあり得るんじゃないかなと思ったんです。」

北海道・網走の木工、長崎の波佐見焼、新潟・燕三条のステンレス加工など、日本の匠の技を結集して日本茶のドリッパーが完成しました。そして、そのドリッパーを使ってお茶の楽しみ方をプレゼンテーションする場所として『東京茶寮』が誕生したのです。

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「青柳さん:ペットボトルのお茶って水のそれと近くて、ごくごく飲むものですよね。僕らがお出しさせていただいているのは、一杯あたり110か120ミリリットルくらいのものなので、お茶自体を楽しむ行為なんです。嗜好品というか、コーヒーと似ているので、僕らはカフェで売られているサードウェーブのコーヒーと同じ立ち位置のお茶をライフスタイルとして根付かせたいというか、お客さんに気づいてもらいたくて。いろんな品種を少しずつ、一煎目、二煎目の違いというのもコーヒーではできないアプローチなので、コーヒーっぽい所作は残しながら、スタイルもインスパイアを受けながら、でもお茶としてのトラディショナルな部分をきちんと受け継いで、現代風にアレンジしていこうというようなスタンスでやっています。」

『東京茶寮』をたずねたお客さんは

一煎目を、ワイングラスのような形の器でいただきます。

つづいて、二煎目。

「谷本さん:二煎目は蒸らさずにすぐに落としていきます。温度は80度。一煎目より茶葉がひらいて、色味も濃く出ていきます。見ていただくと茶葉の感じが全然違って、ここが味とリンクしているところで、二煎目は取っ手のついたカップでお出しします。しっかり温度管理をしていれると、これだけ違いがあるんですけど、やっぱり面倒でなかなかやりづらい、あるいは、やってみないと分からないので、お茶好きの方でも、これは初めて飲み比べた、品種での見比べるのは初めてだった、という方は多いです。」

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デザイン会社のふたりが考えた、日本茶を楽しむ新しいスタイル。ドリッパーなので、茶葉がひらくところを見ることができますし、適切な量のお湯をそそぐことができます。そして、一煎目、二煎目を違う器で味わう体験。スペシャルティコーヒーのカフェのように、こだわりの茶葉に、普段から触れる文化をもう一度。『東京茶寮』は、お茶の業界からも熱い視線を集めています。ハンドドリップで淹れた日本茶、ぜひご堪能ください!予約をしていくと安心です。

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  • 東京茶寮
  • 住所:東京都世田谷区上馬1丁目34-15
  • アクセス:東急田園都市線 三軒茶屋駅 "南口B"出口から徒歩7分
  • ご予約の方法など、詳しい情報はウェブサイトをご確認ください。