2009年、15歳でデビューしたジャスティン・ビーバー。あっという間に大スターとなりヒットを連発。しかし、2013年から2014年にかけて雲行きが変わります。いくつものスキャンダルが報道され、一時はミュージックシーンから消え去ったかのように見えました。ダンサー YUSUKE NAKAIさんがジャスティン・ビーバーに初めて出会ったのは2015年の初夏。ロサンゼルスのラジオ局が主催するWANGO TANGOというフェスティバルのリハーサルでした。

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「WANGO TANGOのときに会ったんですけど、もうそのときには普通でした。いろいろ騒がれているじゃないですか。騒がれているけど、僕が見た感じそこまでというか、普通の少年。僕がジャパニーズだと言うとお辞儀みたいなことをしてくれたり、ほんとにユーモアの人です。人間味のある、いい人ですよ。中身はいい人だけど、いろいろ叩かれちゃうというのがあると思うんです。いやー天才ですね。ダンスだけじゃなくて。彼はほんとに"初めて僕が見た純粋な天才"っていうイメージです。」

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YUSUKEさんいわく、『僕が初めて見た"純粋な天才"』ジャスティン・ビーバーとの日々が始まりました。2015年、ジャスティンは久々の新曲とともに数々のアウォードに出演。MTV Video Music Awardsでは涙を流し、アメリカのメディアでは、"Comeback performance"として、大きく伝えられました。

「復活という意気込みもありますが、彼自身はほんとにナチュラルですよ。あ、でも1個めちゃめちゃよかったショーがあります。Choice Awardだったかな、ジャスティンは復活のときにずっと帽子をかぶってたんですけど、そこで帽子をとったんです。そのときのショーがめちゃめちゃ印象に残ってます。力強く見えたんです、そのときに。」

ジャスティンへの期待がこれ以上ないほど高まったタイミングでリリースされたのが、アルバム『Purpose』でした。そして、いよいよワールドツアーの準備が始まります。

「1曲1曲振りを作っていって、その振り付けをもらって、全部組み立てて、そのあと本番同様のステージでリハーサルしてGO。やったことのないものがあって、それが苦労しました。"ハーネス"っていうんですけど、宙ぶらりんになってそこでぐるぐる回転したりするもので、あれはめちゃめちゃこわかったです。30メートルって言ってたかな、すごく高いんですよ。宙づりになってそこで2回転して振り付けやって、また2回転して振り付けやってから降りて、そこからまた振り付けに戻って、という感じで。リハのときに『半分まで上がるよ』って言われて、10メートルちょっとまで上がるんですけど、ここで"あ、やばいな"って思って。(笑)ほんとにこわくて、リハのときに『回って』って言われたんですけど、『回りたくない』みたいな感じです。(笑)」

ジャスティン・ビーバーのThe Purpose World Tour。実は、すべての公演でダンサー YUSUKE NAKAIさんのソロパート。つまり、YUSUKEさんがひとりだけで踊るシーンがあります。

「僕はすごくありがたいことに、ジャスティンが着替えている間に2分間くらいのソロをもらっているんです。だいたい3曲目か4曲目が終わったあとに映像だけ流れて、ピンスポットで照らしてもらって踊ってるんですけど、そのツアーが始まる前日、『よし、ツアーだ!』というときになって、舞台監督の人が『ちょっと来て』と。僕はその前の曲で踊っていたんですけど、『YUSUKEそこ踊らなくていいから』って言われてすごくテンション下がって。でも、『そのかわりにひとりで踊ってくれ』と。結局、前日に言われて当日踊って、そこが気に入ってくれたのか、もうずっとソロをいただいているっていう状態です。僕はフリースタイルなので毎回、全部直感でやってます。ジャスティンも『よかったよ』って言ってくれてるので嬉しいですね。」

今年3月にスタートした北米ツアーは全部で、64公演。オフのときのことも、少しだけ教えていただきました。

「スケボーもバスケもサッカーもできる。リフティングとかすごいですよ。いまはジェットスキーみたいなのにはまっているんです。ボードみたいなので水上で遊ぶようなのとかいろいろ。

ほんとにすごいアクティブです。だってジェットスキーやったあとにツアーやりますから。バスケやったあとにそのままショーに出たり。

オフのときはおうちに招待してもらって、のんびりしたり遊んだり、普通にお話したりとか、あとはダンスのビデオ作ったりしてます。バーベキューとか、シェフがいるんですけど、美味しいもの作ってくれて『食べなよ』『ありがとうございます!』みたいな(笑)」

ちなみに、アメリカでのツアーはクルー全員でのバス移動。何10台ものバスが街から街へ。そのなかで、メンバーやスタッフはいわばファミリーのような存在になっていくのです。一緒に旅をするYUSUKE NAKAIさんは、ジャスティンのことをこんな風に見つめています。  

「僕が見ているのはほんとに素の部分の彼。遊んでいるときやフランクなときを見ているので、僕からしたらネットやテレビで騒がれているのは、何なんだろうなと思います。実際と違うというか。

天才です。ツアーのときもだし、歌、声がきれいですよね。あとドラムもプロ級でギターもできるし、天才かって思いますよ。すごいわ~と思って、しかもすごくいい曲だし。」

ショーのあとすぐ日本を発ったYUSUKEさん。日本でのライヴについてこんなメールが届きました。

「日本はすべてにおいてあたたかいと感じました。なので、ジャスティンも気持ちよくステージに上がることができたと思います。"彼のプレッシャーは 毎回 計り知れない。"僕は、隣りで踊っていていつもそう感じています。だから今回、あたたかい日本でライヴができたこととても嬉しく思います。」

ちなみに『Love Yourself』のとき、日本の観客たちは指でハートのマークを作りました。音楽、そしてダンスを愛する心と心が ひとつにつながった瞬間でした。