毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによる税のワンポイント解説をお届けしています。今月は、東京税理士会の中島秀明さんに教えていただきます。

リスナーのNaruさんからの質問。

去年 およそ1ヶ月間、入院しました。入院の治療代や薬などの領収書を集めて 確定申告をすませたのですが、病院では「差額ベッド代」も控除対象になると言われました。詳しく教えてください。

差額ベッド代、というのは、個室などに入院した場合、健康保険適用の範囲外で患者さんに請求される病室の費用のことですが、これも医療費控除の対象なのでしょうか?そして、直接的な診療費・治療費や医薬品の購入費以外に、医療費控除の対象になるものはありますか?

ご自分で希望する個室の差額ベット代は対象になりませんが、大部屋の空きがないなどの理由で個室料金を支払った場合には対象になります。また自家用車のガソリン代や駐車料金などは対象になりませんが、公共交通機関の交通費や、電車などの移動が困難な場合のタクシー代なども対象になります。

自分で「個室」を希望した場合、差額ベッド代は、控除の対象外ですが、大部屋の空きがない、という理由で「個室」になった場合は、対象になる、ということ。また、病院への交通費は、一般的なものは対象になるんですね。あと、保険金が支払われる場合もあると思うんですが、その場合はどうすればいいのでしょうか?そして、保険金の受取りが今年になった場合は、どうなりますか?

治療期間に関わらず、医療費控除の対象になる医療費は、その年の1月から12月までに支払った金額から、保険金などで補填される金額を差し引かなければいけません。3月の確定申告時期までに保険金が確定していない場合は、見積もり金額を控除してください。

保険金が出た場合は、その金額を差し引かなければいけない、ということ。また、去年1年間の費用について計算をして、その金額について確定申告を行う、ということですね。

もうひとつ、質問。

確定申告期限が終わった後に、過去の医療費が見つかった場合、どうなるのでしょう? 期限が過ぎてからでも受け付けてもらえますか?

ご安心ください。医療機関などの領収書が見つかったという場合、還付の申告は5年間さかのぼって提出することが出来ます。また健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」といった書類が届いたら、医療費控除で使える場合があるので保管しておいてください。平成29年度分から、医療費の還付の申告の時に、医療機関などの領収書を添付する必要がなくなりましたが、5年間は保管しておかなければなりませんので、医療費についてはまとめてとっておくようにしましょう。わからない場合は、お近くの税理士までご相談ください。

今年の確定申告から、領収書などを添付する手間がなくなりましたが、原本は5年間保管しなければいけない、ということは忘れないようにしなければなりませんね。今月のワンポイント解説は、「医療費控除について」をテーマにお送りしました。東京税理士会の中島秀明さん、ありがとうございました。