今回は、リスナーのカズさんからの質問です。

「4月に昇給して、残業も含め手取りが20万円を超え、喜んでいたのもつかの間。8月分の給与をいただいたら、社会保険が大幅に上がりまた20万を切りました。このままだと、いくら稼いでも税金などに持っていかれて、手取りが増えないのではと思いました。このあたりの仕組みについて教えて下さい。」

今朝は東京税理士会の加藤 眞司さんに教えていただきましょう。まず8月分の給料で手取り額が変わった、ということですが、何か決まったタイミングがあるのでしょうか

一般的には4月の昇給のところが多いと思います。そこで社会保険料については、基本的に年1回、4,5,6月の3ヶ月の給料の平均で、9月分からの社会保険料を決めることになっています。この届け出を「算定基礎届」といいますが、これは会社が出しますので、カズさんのように、給料明細を見て、「エッ!」となる場合が多いと思います。

ただ、カズさんの場合は、8月から上がっていますので、定期の改定ではなく、随時の改定ということだと思います。昇給や残業代が多い場合はそれに該当します。一方、同じく天引きされる源泉所得税は、社会保険料が増えると、若干下がります。ただし住民税の額については変更ありません。

住民税の計算は、12月の年末調整後にお住いの区や市町村に報告され、翌年6月から天引きされますので、新入社員の方は翌年の6月にその分手取りが減ってしまいます。このように、天引きされるものも、それぞれ改定時期が異なります。

所得税は年末調整で精算されそれでおしまい。住民税は毎年6月分から改定、社会保険料は9月分から改定となります。時期を覚えておいて下さいね。

月の昇給、6月の住民税、9月の保険料改定、12月の年末調整。覚えておきましょう。では、加藤 眞司さんに引き続き教えていただきます。社会保険や税金について、きちんと把握するには、どうすればいいでしょうか。

まずは、ご自分の「給与明細書」をよくご覧ください。「いただくもの」と「天引き、控除されるもの」となっています。

「いただくもの」は基本給、各種手当、残業代、通勤費などの合計額。「天引き、控除されるもの」は源泉所得税、社会保険料、住民税、これらの3つが税金関係。社会保険料は、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険で表示されていると思います。

毎年12月の年末調整後にその年の「源泉徴収票」が渡されます。そこには、その年、つまり平成29年なら29年中の給料総額、それに対する所得税、そして給料から天引きされた社会保険の合計額が記載されています。また、住民税については毎年5月に6月以降に天引きされる予定が書かれた住民税の決定通知書が渡されているはずです。

ですから、源泉徴収票、決定通知書など、渡されたものをまずは、きちんとご覧くださいね。そのうえで、じゃあ、これって、どういうふうに計算されているの?と、次なる興味がわいてくれればいいですね。

どうしても手取りの金額が気になりますが、「給与明細」の中味をしっかり把握することで、いろんな事が見えてきます。リスナーのカズさん、お分かりいただけたでしょうか?東京税理士会の加藤 眞司さん、ありがとうございました。