毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けしています。今朝は、リスナーの方からの質問にお答えいただきます。

内容は、「たばこは地元で買いましょう」という張り紙を見ました。どういう仕組みになっているのですか?」ということですが、、、これについて、東京税理士会の高橋浩之さんに教えていただきましょう。

よく、たばこ税、たばこ税といいます。でもじつは、たばこ税にはふたつあるんです。ひとつは国のたばこ税。そして、もうひとつは地方のたばこ税です。文字どおり、国のたばこ税は国税で、国の税収になるもの。それに対して地方のたばこ税は地方の税収になります。国のたばこ税は、つくった本数にかかります。これに対して、地方のたばこ税は、売れた本数にかかる。仕組みとして、多く売った小売店のある地方自治体の税収が増えるようになっているんですね。ですから、どうせたばこを買うなら、隣町じゃなくて、地元で買ってよ。とこういうわけです。日本全国たばこの値段は同じですし、それによって地元もうるおうわけですから。

なるほど。売れた本数に対してかかる税は、地方にまわるんですね。では、たばこの価格のうち、具体的には、どれくらいのが税金分で、どれくらいが「地元自治体」の税収になるのでしょうか。

たとえば、ひと箱440円のたばこだと244円ほどがたばこ税です。

これは価格のおよそ55%。そのうち、半分が国に入って、半分が地方に入ります。

さらに、地方に入る分は、都道府県に入る分と市町村に入る分に分かれます。

内訳では市町村に入る分が圧倒的に多いんですね。ですから、市町村にとっては貴重な財源。まさに「たばこは地元で買いましょう」。ですね。

この標語、以前はよく見かけた気がします。でも、町のたばこ屋さんが店を畳んだり、たばこを吸う人が減っている最近はあまり見なくなりました。

確かに、最近は街のたばこ屋さんは減りましたね。さて、たばこ以外にも、地元自治体の税収になるものは あるのでしょうか。

「たばこは地元で買いましょう」とは聞いても、「お酒は地元で飲みましょう」とか「ガソリンは地元で入れましょう」なんて聞かないですよね。たとえば、ガソリンにはガソリン税がかかります。このガソリン税というのは、たばこ税と同じで、ふたつの税金をひとくくりにした呼び方。ガソリン税と地方ガソリン税です。でも、たばこと違うのは、文字どおりじゃないことなんですね。地方ガソリン税は地方と名がついても、じつは国税。仕組みとして、ガソリンを多く売ったガソリンスタンドの地元がうるおうようになっていない。ですから、「ガソリンは地元で入れましょう」にはならないんですね。ちなみにお酒の税金は国税だけです。 たばこの税金は特殊なものといえるでしょう。

たばこ税だけが、特殊、なんですね。東京税理士会の高橋浩之さん、解説、ありがとうございました。