毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けしています。今月は、東京税理士会の平井貴昭さんに今、申告期間中の「確定申告」について教えていただきます。

自営業はもちろん、会社にお勤めの方でも、医療費を税金から控除してもらう、という制度を利用する方が多いと思います。まずは、これについて解説いただきます。病気にかかると医療費がかかります。そうすると通常の健康な人より医療費の分だけ支出が多くなるので、税金を払うのが大変になります。そのために、その救済措置として、医療費控除制度が設けられています。具体的には、自分、自分だけじゃなくて家族のために支払った医療費の実質負担額が、原則として10万円を超えた場合。超えた金額が去年の所得から差し引くことができる、そういう仕組みになっています。医療費控除の対象となるのは、病院、あるいは歯科の治療費。それから薬代。これは市販の薬もOKです。それから、出産の入院費、病院までの交通費。そういうものが対象になってきます。去年分の医療費控除を受けようとする人はですね、必ず3月15日までに確定申告をしなければ税金の還付は受けられませんので、ご注意ください。

医療費の実質負担額が、原則として10万円を超えた場合、確定申告をすれば、控除が受けられます。でも、期限の3月15日ギリギリになると 税務署の受付窓口も混雑しますよね。しかし今は、 【e-Tax】という制度があって、税務署に行かなくても、ネットでも申告ができます。手続き、準備には どのようなことが必要なのでしょうか。

若干複雑なんですが、まず本人確認を行わなければいけませんので、そのためにマイナンバーカード、あるいは住民基本台帳カード(住基カード)を取って頂く。それから家電量販店等で売っているICカードリーダライター、これが必要になります。次に、e-Taxの開始届出書を税務署に提出をしなきゃいけないということです。そうすると、IDとパスワードがオンライン、あるいは郵送で税務署から送られてきますので、それで手続き完了します。詳細については、国税庁のホームページに詳しく出ておりますので、そちらをご覧いただければと思います。

なるほど。マイナンバーカードか住基カード。そしてICカードリーダライターが必要で、「e-Tax開始届」を 税務署に提出するんですね。で、ネットを利用する場合でも、医療費に関する確定申告の場合、「領収書を提出する」ということになると思うのですが、やはり税務署に行かなければならないのでしょうか。

医療費の領収書は原則として税務署に提出をしなきゃならない、となっていますが、e-Taxをした場合、医療費の内容がわかる、例えば病院の名前、あるいは支払金額等を入力して送信すれば、提出をする必要は無いんですけど、ただ、申告期限から5年間。これは税務署から医療費の領収書の提出を求められることがありますので、大事に保管しておいてください。

はい、医療費の領収書、保管をお願いします。今月のワンポイント解説は、「確定申告」をテーマにお送りしました。東京税理士会の平井貴昭さん、ありがとうございました。