毎月1回、税についての「頼れるパートナー」として、税理士さんによるわかりやすい税のワンポイント解説をお届けしています。今月は、最近発表された平成29年度の税制改正、その中でもお酒にまつわる税金について、今後の変更点などを、東京税理士会の三森れい子さんに教えていただきます。

現在お酒は4区分されています。その区分ごとにさらに分かれていて、税金の額もバラバラで煩雑です。この4区分というのは、ビール類、日本酒・ワインなどの醸造酒、それからウイスキー・焼酎などの蒸留酒。そしてその他、に分けられています。今回政府は、バラバラの税額を4つの区分ごとに同じにして公平にしようとしています。お酒の税額は店頭価格に即、跳ね返ります。昨年、税額が低い発泡酒や第3のビールなどの税額が、ビールに近づいて、企業が研究開発した成果が文字通り水の泡になったことは、皆さんの記憶に新しいですよね?今回の改正は、酒税全体の税収は変わらないので、高級なお酒が減税になっても安いお酒が増税になりますので、庶民にとっては痛いですね。一度に変更される訳ではなく、10年かけて段階的に変えていきます。ビール系は、まず3年後。次は6年後。最後は2026年、と、3段階で変えていくことになっています。

JK 現状はどうなっているのかと言いますと、350ミリリットルの缶ビールには、税金が、77円。発泡酒には、47円。第3のビールには、28円、含まれています。これをですね、、、「55円程度」に統一する、という狙いがあるようなんです。メーカーにも負担が大きい、ということで、時間をかけて変更していく、ということなんですが。ということは、発泡酒や第3のビールは値上がりするかもしれませんがビールは、安くなる可能性も秘められている、ということですよね。このあたり、みなさんは、どう感じられるでしょうか?ただ、「ビール」に関して見ると、海外では、安く売られています。これは、その国の、お酒の税のシステムが影響しているのでしょうか?

国外には、アルコール度数が高くなるほど、税額が正比例して高くなる、というわかりやすい国もあります。マレーシアでは昨年3月にお酒の物品税について、そのような改正がありました。アルコールが禁じられている国では、アルコール自体が高いのは当然ですが、日本のビールは42.2%が税金です。これはドイツの約20倍、アメリカの約10倍と、先進国の中では高い方ですね。ところで、酒税はメーカーが払うもので、実質的な負担者はアルコールを飲んだ方ですが、飲んだ人が直接払う税金ではありません。「お酒をたくさん飲んで国の税収に貢献するんだ!」というのは止めましょう。皆さんくれぐれも、お酒は適量になさってください。

JK え?日本のビールの税率は、アメリカの10倍、ドイツに20倍?!こうした背景も、税制改正の理由なのかもしれません。そして、「お酒は適量に」。コメント、ありがとうございます!東京税理士会の三森れい子さんでした。