今朝は、「ひきこもり新聞」というウェブメディアの編集長をされています、木村ナオヒロさんにお越しいただきました。

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Q  インパクトある名前です、「ひきこもり新聞」 どういった記事が掲載されているメディアなんでしょうか?

ひきこもり当事者の声を社会に届けるために一般社団法人全国ひきこもり当事者連合会を設立し、ひきこもり新聞を発行している。設立の理由は、ひきこもりに対する偏見や間違った支援方法を払拭するため。

Q  いまお話に出ました、「ひきこもり」という状態について、改めてご説明いただけますか?

家族以外との人間関係がなく、就労や就学などの形で社会参加していない状態を指す。部屋や家から出れない人を「ひきこもり」と呼ぶのではなく、人間関係が断たれ社会的に孤立している人をひきこもりと呼びます。外出できても人間関係が無く、おおむね家庭にとどまり続ければひきこもりに該当するため、高齢者や主婦のひきこもりもいる。

Q  木村さんは、なぜ彼らの支援を行おうと考えたのでしょうか?

自分自身が「ひきこもり」当事者だった。司法試験を目指して勉強をしていたところ、ひきこもりの第一人者である斎藤環先生からひきこもりだと指摘された。その後、オープンダイアローグと呼ばれる手法を使って家族関係の調整を行ってもらい、社会復帰。ひきこもりに該当する期間は10年です。

Q  ひきこもりから抜け出すには、まず何が必要なんでしょうか?

本人の自覚と家族の正しい理解が必要。ひきこもり状態が短期的な場合はトラウマの回復や人生を見直すうえで意味があるかもしれませんが、長期になると鬱や不安障害などが現れ精神的な苦痛が伴う。ひきこもりは人間関係を失ったことにより精神的に追い詰められますが、人間関係を取り戻さない限り、ひきこもったことにより生じた苦痛はなくなりません。 人との交流自体が薬になり、斎藤環先生はこれを『人薬(ひとぐすり)』と呼んでいる。

Q  そして、木村さんが編集長をされている「ひきこもり新聞」。手元に紙面版をお持ちいただいたのですが...どのような内容が掲載されているんでしょうか?

これまで語られることのなかったひきこもり当事者や家族の声に光を当て、ひきこもり当事者や家族が必要とする適切な情報を発信している。

Q  今度、どのような発信をしていきたいとお考えですか?

ひきこもりについての正しい理解と人間関係の重要性を伝えていきたいと思う。ひきこもりについては、怠けているとか犯罪者予備軍としてとらえている人が一部でいるが、こうした偏見は、マスコミなどによって一部の極端な例をセンセーショナルに取り上げられたことが原因。しかし、非正規雇用に代表されるように、人間関係を失いやすく孤立しやすい現代社会では、誰もがひきこもりになる可能性があります。そのため、ひきこもりを他人事としてではなく、社会全体でその問題性と解決方法を共有していく必要がある。ひきこもり新聞は、ひきこもりに対する偏見を払拭して行くとともに、ひきこもりを社会に繋げるための情報を伝えていこうと思います。

ウェブメディア「ひきこもり新聞」をぜひご覧ください。