昨日、12月1日は「世界エイズデー」でした。そこで、今朝お迎えするのは、HIVについての啓発活動などを展開されているNPO法人「ぷれいす東京」、代表の生島 嗣さんです。

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Q 生島さんが代表を務められている「ぷれいす東京」、いつごろから、どのような活動をされてきたんでしょう?

1994年にエイズの電話相談や、HIV陽性者への支援に関わっていた人たちが集まって立ち上げた団体。専門家たちが集まる会だったが、同年に横浜で開催された国際エイズ会議をキッカケに、開かれたコミュニティとなった。

Q HIVとエイズ、この言葉の違いについて、あらためて教えていただけますか?

HIVは人の免疫を壊すウイルス。HIVに感染して気付かずにいると、免疫システムが壊れてしまい、普段ではなんともないような病原体が原因となり、様々な症状が出てしまう。この状態を『エイズ』と診断する。

Q  このHIV、エイズについての研究は、かなり進んでいるんですよね?

1996年から治療がとても良くなり、早期に診断されれば、長生きができるようになってきた。10年前にデンマークで行われた調査による推計では、感染している人としていない人の寿命の差が、12年となった。さらに、最近の海外の推計では4年や7年と、より短いものになっている。

Q  HIVやエイズは、死に至る病では無い時代になりつつある?

びっくりされるかもしれないが、治療開始からしばらくすると、専門病院に通院する患者の多くが血液中からウイルスが見つからないレベルになる。つまり、抗HIV薬の服薬をきちんとしているHIV陽性者は、もはや感染源では無い。HIV陽性者もパートナーをつくることも可能。結婚をしたり、子どもを授かることもできる。

ただし、早期に感染に気付けばという条件つき。まずは、一人一人が古いイメージをリニューアルしてください。

Q  正しい知識を持つことが大事、ということですね。

多くのHIV陽性者は治療をして、きちんと社会参加が出来ている。恐れるべきなのは、治療をしている感染者ではなく、自分の感染を知らないでいる人をどう減らすのかが課題。そのためには、最近の病気のイメージをリニューアルすることが大切です。この偏見は、一人一人がHIV検査を受けるときのハードルにもなっている。

Q  もし自分がHIVだった、とわかった時はどうしたら良いでしょう?

まだまだ死の病気というイメージの人も多い。周囲の誰に伝えるのか、伝えないのかは慎重に考えた方が良い。まずは、全国に整備されている専門病院に行きましょう。障害認定の対象になっているため、少ない医療費の負担で服薬をすることができます。また、健康保険を使っても、プライバシーが勝手に、職場に伝わることはありません。

Q  また、周りの人がHIVであることがわかったときには?

これまでと同じ付き合いをしてください。プライバシーはどう扱ったら良いかを本人に聞いてください。もし、あなたが一人で受け止めきれない場合には、私たちのフリーダイヤルに電話してください。

Q  私たちに出来ることは、どんなことでしょうか?

まずは、最新の情報を知りましょう。この20年でHIV・エイズは無視していたら死のままですが、早めに気づき、治療開始することで、長く付き合える病気に変化してきた。一人一人が「病気を持っている人がいるかも」、「話しにくい何かを抱えているのかも」という前提で暮らすことが、病気を持っている人も、持っていない人も、誰もが暮らしやすい社会につながると思う。

「ぷれいす東京」では 電話相談も受け付けられています。より詳しい情報は、番組のウェブサイトやtwitterをチェックしてみてください。

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