藤代:おはようございます。今朝は経済統計ではわからない豊かさについてです。

J.K.ここではいつも経済統計や指標のお話をしていただいていますが「豊かさ」を数字では表せないということでしょうか。

藤代: 普段「日本は世界3位の経済規模を誇る豊かな国」という文脈でてくる「経済規模」は通常GDP、国内総生産を示しています。その概念は「新たに」世の中へ送り出したモノ、正確には付加価値の合計です。ポイントは「新たに」という部分です。つまり、普段よく耳にする経済規模というのは、「新たに」作り出したモノの合計です。

J.K.:「新たに」というからには、例外があるということですね?

藤代: 中古品の売買が入りません。どんなに大きな金銭のやり取りがあっても、「新たに」つくられたものではないので経済規模にはカウントされません。従ってフリマは対面でもアプリでも、その売買はGDPに算入されません。お店で新品の1万円のバッグが売れれば経済成長にカウントされますが、フリマで中古の100万円のバッグが売れても経済成長はゼロなんです。

J.K.:それは実感と少しズレがありますね。

藤代: 重要なことは、統計は完璧ではないということです。経済統計はこうした中古品の活用などで感じることのできる「豊かさ」を上手く反映できません。日本より遥かに所得の低いブータンの幸福度が世界トップクラスなのがしばしば話題に上がりますが、こうして考えるとブータンの方は「新たに作る」ことにさほど執着がなく、既にあるものを有効活用するのが得意なのかもしれません。日本は「新たに作られた」という尺度では成長が鈍くなっていますが、フリマ、オークションなどが身近に活用できるようになったことで経済統計での見た目より、私たちの生活は豊かになっている、こんな見方もできるのではないでしょうか。豊かさの感じた方は人によって幅があるので何とも言えませんが、やはり統計だけをみて豊かになった、貧しくなったと判断するのは難しいと思います。