藤代:おはようございます。今朝は、この後8時30分に発表される日本の雇用統計を見据えて、最近の労働市場を解説します。

J.K.「人手不足」の話題はよく出ますが、状況は変わらないのでしょうか?

藤代: ご存知の通り、日本は深刻な「人手不足」に直面していますが、実のところ就業者、つまり働く人の数は過去最高です。日本の生産年齢人口、つまり15歳以上65歳未満の人口は1996年をピークに減少していますが、ここ数年はこれまで仕事に就いてなかった、女性と高齢者が新たに働き始めたので、生産年齢人口は減っているけれども、働いている人は逆に増えたということになります。つまり働く人の数全体は減ってないのに「人手不足」という一見すると奇妙な現象が起きています。

J.K.:それではなぜ「人手不足」なのですか?

藤代: 働く人の数だけみれば、たしかに過去最高ですが、増加の内訳は女性と高齢者に集中していますから、結果的にパートタイムが多く、こなせる仕事量でみると、不足がちになっているという訳です。男性労働者がどうしても多くなる建設、運輸。そして体力を必要とする医療・介護では若年層の労働力が足らず、深刻な人手不足に直面しています。

J.K.:「人手不足」の解消に向けた動きは進んでいますか?

藤代: ここ数ヶ月、就業者数が驚異的な伸びを示しています。グラフでみると、ほぼ垂直に近いカーブを描いています。これまで専門家の間では、「まだ仕事に就いていない人」はそろそろいないくなっているのでは、という見方が多かったのですが、予想外に、まだまだ増える余地があったということです。ここへきて新たに就職活動を始めた人も急増しています。これはパートを中心に待遇の良い勤務先が増えてきたので、良い待遇なら働いてみよう、という人が増えたのだと思います。要するに日本では、「人手不足」が深刻ですが、それを埋める働く人も増えています。