藤代:おはようございます。今朝は、日銀の新体制発足を踏まえて、今後の経済政策についてお話したいと思います。

J.K.:4月から新体制発足ということですが、どう変わりそうですか?

藤代:4月に5年の任期を満了した黒田総裁は、あと5年の続投が決定しました。日銀は副総裁が変わりましたが、本質的な部分はほとんど変わりません。黒田総裁が始めた大規模な金融緩和について、一部変更される可能性がありますが、基本路線は変更なし、だと思います。現状ではこれ以上、日銀にできる政策というのはありません。

J.K.:ということは金融緩和はまだまだ続くということですね?

藤代:経済政策は、日銀が司る金融政策と、政府の財政政策の2つに分けられますが、現在は金融緩和が十分である反面、財政政策についてはもう少し積極化した方が良いのではという、声があります。それはさすがに多数派ではありませんが、ここ数年、税収が増加して2017年度は過去最高近くになっていますから、政府がもう少しおカネを使うべきという声が増えつつあるように思えます。

J.K.:でも、やはり無駄を削減すべきという声も多いですよね。

藤代:もちろん無駄使いはよくありません。ただし、政府がおカネを適正水準までしっかり使わないと、景気が悪くなり、かえって財政が悪化するという問題もあります。たとえば、年金を10兆円削減して、消費が10兆円減ると、景気が悪くなって財政が10兆円以上悪化することもあります。それから無駄遣いと批判が多い公共事業についても減らし過ぎは良からぬ結果を招きます。ケインズという経済学者は「政府が人を大量に雇って、穴を掘り、その穴を埋める公共事業をした方が、失業手当を払うよりも遥かに有意義」と言ったくらいです。現在の日本はそうした過激な経済対策が必要な状況ではないですが、国の台所事情が悪いからといって財政再建を急ぐと、かえって財政が悪化する可能性がある、この考え方は知っておいて損はないと思います。