藤代:おはようございます。今朝は働き方改革について。ちょっと残念なデータがあります。

J.K.:残念というのは、どんなことですか?。

藤代:サービス残業が減っていない可能性があります。当社が試算した一人あたりのサービス残業は、2017年は年間196時間。労働者が申告した時間と、企業が賃金支払いの対象にした時間を比べ、その差をサービス残業としました。ほぼ200時間という大きな数値は、2016年との比較で横ばいです。計測されたサービス残業は2010年頃から2015年までは順調に減ってきたのですが、皮肉なことに、働き方改革が推し進められた2016年は増加、2017年は横ばいとなり、それまでの減少傾向に歯止めがかかってしまいました。失望的なデータです。

J.K.:なぜ、サービス産業が増えてしまったのですか。

藤代: まず前提として、当社が推計したサービス残業の時間は一つの尺度に過ぎませんから、数値は相当な幅を持ってみる必要があります。なのでこのデータをもって働き方改革が失敗というつもりはありませんが、過去2年にサービス残業の減少が一段落してしまった能性があることは事実ですし、同時にそれは大変残念なことです。なぜ、サービス残業が増えたか?これはあくまで仮説ですが、企業側が労働時間の削減を従業員に打ち出す一方で、無駄な仕事を十分に減らさなかったので、結果的にサービス残業に回った可能性があります。

J.K.どうすれば良いと思いますか?

藤代:長時間労働の是正そのものは大賛成ですが、この2年は労働時間の削減と仕事量削減のバランスがうまく調整できず、労働者にしわ寄せがいってしまった印象です。サービス残業は実質的な賃金カットで、それは立場の弱い労働者にとって、非常に過酷ですから、今後もブラック企業を世間が厳しく監視して、労働者に過度な負担を強いる企業が減るようにしていくということが重要だと思います。