藤代おはようございます。今朝は、4月からの日銀新体制発足を見据えて、日本とアメリカの中央銀行の違いについてお話します。

J.K.:日本は日銀、アメリカはFRBですね。どう違いますか?

藤代:日銀もFRBも、金融政策、すなわち金利の上下を通じて景気をコントロールする役割そのものは同じですが、掲げている目標は微妙に違います。まず日銀は「物価の安定」。現在は物価上昇率を2%に引き上げようと金融緩和をしています。一方で、FRBは「物価の安定」に加えて「雇用の最大化」つまり失業率を下げるという役割も担っています。

J.K.:FRBの方が役割は多く、大変そうですね。

藤代:一見すると大変そうですが、物価と雇用は密接に結び付いているので、結果的に二つの目標でも違いはありません。理由を簡単に説明します。まず、失業率が高い状態を想像して下さい。ここでFRBは金融緩和をしておカネの流れをよくして景気を回復させようとします。ここで思惑通りに景気が回復して失業率が低下したとします。すると企業は、労働者を確保するために賃金を上げます。すると今度は企業がコスト増加に見合った利益を確保するため、販売価格を引き上げ、物価が上がる。このように雇用、物価、賃金はそれぞれ表裏一体というわけです。

J.K.賃金と物価は同じような動きをするということですね。

藤代:この関係については経済を勉強した人には当然の知識なのですが、政府・日銀はこれをもっと国民に説明すべきと思います。というのも、デフレ脱却、すなわち物価を上げようとする政策は、物価だけ上がって賃金が上がらないという悪いイメージを人々に想像させてしまうわけです。物価を上げるために金融緩和というのは、なんとも消費者泣かせの政策に思えて仕方ありません。4月以降、日銀は黒田総裁は続投、副総裁2名が交代して新体制に移行するのですが、これを機にFRBにならって日銀も「物価の安定」だけでなく「雇用の最大化」、すなわち賃金を上げるための目標を掲げるというのが、個人的には良いと思います。