藤代:おはようございます。今朝は日本とアメリカの物価上昇率についてです。

J.K.:日本とアメリカはどう違うのですか?

藤代:日本は1990年代後半から2013年頃まで、およそ15年にわたって「デフレ」だったので、物価が下落する状態にありました。一方、アメリカは物価が下がったことはほとんどなく、2000年以降は平均すると毎年2%くらい物価が上がり続けてきました。これは2000年との比較で物価が40%くらい上昇したことを意味します。この間、日本の物価はほぼ変化がありません。

J.K.:たしかに近年アメリカに行くとホテル代などが高くなったと感じますよね。

藤代:アメリカではサービスの値段が上がっていますが、一番顕著に上がっているのは家賃です。反対に日本でほぼ一貫して家賃が下落しています。これが日本とアメリカの物価上昇率の違いの実態を説明しています。先日、NY在住の友人のエコノミストと物価について話しあっていたところ、これを象徴する文化、商慣行の違いがありました。日本では賃貸住宅に住んでいる場合、ほぼ例外なく入居時の賃料のままで、近隣の物件が上がっても割安ということになりますが、アメリカでは1年ごとに自動的に家賃が上がるそうで、友人の家賃は10%近く上がるというのです。

J.K.:入居者にとってはつらいですよね?

藤代 ただこれが経済の面白いところで、物件オーナーが潤うことでおカネが循環して景気が良くなれば、経済全体としてはプラスになる可能性が高いといえます。これは格差拡大と隣り合わせなので注意は必要ですが、値上げは決して悪いことばかりではないということです。