藤代おはようございます。今朝は最近の原油価格の上昇についてお話したいと思います。

J.K.:ガソリン代が上がったり、いろんな影響がでていますよね。

藤代:資源を持たない日本では、原油価格の上昇は嬉しくないニュースですが、実はアメリカ、中東、ロシアのように原油の生産が盛んな国の経済には追い風となります。今日はそもそも原油がどんな要因で変動するのか、エコノミストならではの視点でお話したいと思います。

J.K.:中東情勢が悪化すると原油が上がることが多いですよね?

藤代:一般論として、原油価格は需要と供給のバランスが重要ですので、例えば中東情勢が緊迫化すると、中東から原油の輸出が減るのでは、という懸念から、原油価格は上昇します。70年代のオイルショックはまさにそれ。これとは別に金融商品としての視点も重要です。特に2000年代以降、原油は株や債券のように投資商品の性格を帯びていますから、需要と供給だけで価格が決まることはなくなってきています。ここで抑えておくべきポイントは原油が米ドル建てで取引されているということです。

J.K.: ニューヨークでの原油取引価格は○○ドルって、言いますね。 

藤代: つまり原油を買うにはアメリカドルが必要です。従って、ドルとの力関係が影響します。もう一つ重要なのは、原油は金利がつかないという弱点があるということです。つまり他の条件が一定の場合、米ドルの金利が上がると、金利の付かない原油は弱点が目立ちます。投資家は少しでも多く、おカネを稼ぎたいので、ドルの金利が例えば2%から3%に上がった場合、ドルを持つと金利が稼げるので、金利ゼロの原油を買わなくなります。反対にドルの金利が下がると、金利がつかないという弱点が隠れるので、原油価格は上がります。最近、原油価格が上がっているのは、ここが関係しています。こうして考えると、米国経済は、本当に色々なところに影響を与えていることがわかります。米国経済の分析はやはり重要です。