藤代:おはようございます。今朝は、日本経済が「デフレ脱却」に成功したのか、考えてみたいと思います。

J.K.:そもそも「デフレ」とはどういう状況でしょうか?

藤代: 正式な定義があるわけではありませんが、政府は「持続的な物価下落」と表現しています。物価だけが下落するのであれば「良いものが安く買える」ということで望ましいように思えますが、物価が下落すると同時に賃金も下がりますし、さらには株や土地など値段がついているもの全てが下落する可能性が高まりますので、経済全体でみると好ましくありません。デフレの反対のインフレでは、物価も賃金も株価も不動産も全て上がることになるので、インフレの方が好ましいと言えます。

J.K.:物価だけ上がって、賃金が上がらないと辛いですね?

藤代: 賃金が上がっているという実感は乏しいかもしれませんが、日本全体でみると正社員が増えていて、平均すると賃金は上昇しています。企業が払う人件費は3~4%くらい増えていますので、数字の上では賃金が増加しています。それに応じて物価も上昇しています。人件費が増加していますので、少しずつ値上げをしようという動きです。日本は1997年から2014年頃までデフレの状況でしたが、ここ数年はデフレという言葉が馴染まなくなっています。

J.K.:それでも値上げと聞くと、あまり嬉しいニュースではないようですが・・

藤代: 物価が上がった場合、隠れたメリットがもう一つあります。それは過去の借金が相対的に小さくなるということです。政府の負債、個人の住宅ローンなど長期間で返済していくものは、特にその恩恵が大きくなります。例えば今日1000万円を金利1%で借りたとして、1年後に給料と物価が3%上昇すると、返済負担が軽くなります。ですから、やはりデフレ脱却というのは良いことだと言えますし、実際にそれが成功したことは、素直に喜んで良いと思います。