藤代:おはようございます。今朝は、今年の日本経済で盲点になっていることをお話ししたいと思います。

J.K.:日本経済での盲点、それはどんな点ですか?

藤代:それは東京オリンピック・パラリンピックの経済効果についてです。まずはオリンピックの経済効果にどんなものがあるか、考えてみたいと思います。まず思い浮かぶのは、オリンピック・パラリンピックの開催期間、合計およそ4週間で、その間に来日する観戦客や関係者の消費です。東京はもちろん競技場のある地域には多くの人が押し寄せますので、消費の拡大に貢献すると思います

J.K.:それだけでも、物凄い効果がありそうですが?

藤代: オリンピックの経済効果で一番大きいのは、競技場、交通網の整備など、都市開発・建設に関連するものです。ここで最も重要な注意点として、建設関連の経済効果は、開催される前にほぼ全て出尽くすということです。前回大会のブラジルのようにオリンピック開会の数日前まで、会場建設をするならば話は別ですが、計画通りにいけば、オリンピック関連の需要がピークを迎えるのは、開催の2年前となります。つまり、今年がインフラの経済効果が最も強く出る年になります。これは各国のパターンを基に日銀が計算したもので、民間エコノミストも大体同じ見方をしています。つまり現在、私達はオリンピックの経済的な需要のピークに近いところにいるということになります。

J.K.:東京オリンピックで景気が盛り上がっているという実感には乏しいですね。

藤代: 私が強調したいのは、良くも悪くも東京オリンピック・パラリンピックの経済効果は前回に比べると大きくないということです。「東京オリンピックが終わってから、日本の景気は大丈夫か?」という声をよく聞きますが、現在景気が盛り上がっているという印象に乏しいなら、反動が来るとしても、小さいはず、ということになります。