藤代: おはようございます。今朝は、経済指標で示される景気と、肌で感じる景気とそのズレについて考えたみたいと思います。

J.K.:今年は景気が良いという情報が多かったですが・・

藤代:経済指標では、企業に景気の現状をアンケートした日銀短観。中小企業の回復が大きく貢献する形で日本企業全体では1991年以来で最高の景気の現状認識が示されました。大企業のみではなく、中小企業の改善を伴っているというのが2017年の特徴でした。また内閣府が実施している「国民生活に関する世論調査」でも、現在の所得・収入に満足しているという人が51.3%に達しました。これは1993年の調査開始以来では最高水準に匹敵するレベルです。

J.K.:数字上は、今は1990年代前半と同じくらい景気が良いということですね?

藤代:1990年代前半といえば、まだバブル景気の時期ですので、1万円札を振ってタクシーを捕まえていた頃です。多くの人にとって、現在の日本はそこまでの高揚感に包まれていないというのが実感ではないでしょうか。そこでなぜ、このように経済指標の数字と肌で感じる景気に隔たりが生じているのか私なりの見解をお話しすると、「理想が低下している」からです。たとえば、1990年に「現在の収入に満足していますか?」と聞くと、年収が30万とか、50万円増えてはじめて「満足」と応えていたのでが、現在では5千円、或いは増えていなくても「満足」と回答している可能性があります。この結果、給料が少しでも増えると経済指標の改善が一気に進んでバブル期と同程度まで、数字の上では改善するということに繋がっているのだと思います。ニュースなどで、こうした強い経済指標をみると、自分が取り残されているような感覚を持つかもしれませんが、最近の経済指標は実体よりも強めの結果がでている可能性が高いということを認識しておくと良いかもしれません。