藤代:おはようございます。今朝は、衆院選でも話題となっていた日本の生産性について考えてみます。

J.K.:生産性の向上が課題とされていますよね?

藤代:一般論で、日本の労働者の生産性はアメリカに比べて低いとされています。そこで効率を上げるために「働き方改革」が国策として進められています。人手不足もあって、多くの企業で生産性の向上が重要課題として認識されていると思います。ただ、一方で現場レベルでは「これ以上どうしろ、っていうんだ」という感覚をお持ちの人がいるのが現実の姿だと思います。

J.K.:生産性を上げるのは簡単なことではないですよね。

藤代:そこで、そもそも日本の生産性が本当に低いのか?これを疑ってみることも必要だと思います。データをみると、労働生産性を意味する「労働者一人当たりの生産高」は、アメリカの6割程度と計算されていますが、こうした国際比較は相当な幅をもって解釈することが必要です。というのも、日本とアメリカを比較する時には、日本の数値をドルに換算していますが、為替レート次第で大幅に変動するからです。ですので、アメリカの6割程度というのは、ある基準時点における一つの目安に過ぎないということです。

J.K.:生産性は様々な見方をすべきってことですね?

藤代:そこで重視すべきは、生産性の伸び率をみることです。これであれば毎年の改善度合いが比較できますので、努力の成果を測るうえで優れています。この尺度で日本の位置取りを確認すると、意外なことにアメリカより遥かに高く先進国でトップクラス。こうして考えると「これ以上どうしろっていうんだ」という感覚もあながち間違いとは言い切れません。私が強調したいのは、生産性が低いといのは決まりきった事実ではないので、先ずはデータをしっかり確認することが重要ということ。そうでないと変える必要のないものまで変えてしまう危険性があるように思えます。