藤代: おはようございます。29日に発表された有効求人倍率は43年半ぶりの高水準で人手不足が話題です。ここで2つほど意外なデータを紹介します。

J.K.:人手不足が深刻、というのはわかるのですが意外とはどういうことですか?

藤代:意外なデータの1つめ。それは、人手不足とはいうものの、日本の就業者数(労働者)は減っていなくて、むしろここ5年くらいは増えています。しかも今の水準は過去最高だった1998年にかなり接近しています。要するに「人が減ってないのに人手不足」という奇妙な関係になっているわけです。

JK:なぜ労働者数が増えているのに、人手不足なのですか?

藤代:まず、なぜ労働者が増えているかというと、それは働き盛り世代の男性が減る一方で、それを補っているのは女性と高齢者だからです。女性や高齢者は比較的短時間労働が多いですから、人の数は増えても、こなせる仕事量は現役世代の男性の減少をカバーできないというわけです。女性はフルタイム労働を自ら希望しない場合も多いですし、高齢者は体力面に配慮する必要があるので、その結果人手が足らない状態になっています。

J.K.:それではまだ女性の労働者は増えそううですか?

藤代: ここでもうひとつ意外なデータ。実は日本人女性は国際的にみて、かなり仕事に就いているということです。人口のうちどれだけの人が働く意欲があるのか、それを示す労働参加率という指標でみると、日本は北欧よりは劣りますが、フランスと同じくらいで、アメリカ、イタリアよりも高いのです。ですから、良くも悪くも、これ以上、女性に期待するのは難しい状況になりつつあります。とはいえ、女性が働きやすい社会を作り出すためにできることはたくさんあるので、そこは考えていく必要があると思います。具体的には、子育て・介護世代にテレワークを推進したりして、負担を減らすことが有効だと思います。