藤代:おはようございます。今朝は最近の「長雨」が経済に与える影響についてお話したいと思います。

ハリー:ようやくここ数日東京は夏らしい日々ですけれど、今年の8月は特に夏らしくない天候が続きました、経済にも影響はありそうですか?

藤代:やはり、夏は暑い方が景気にはプラス、これが基本です。暑ければ、ビール、アイスクリーム、エアコン、扇風機、それからプールに海水浴などのレジャー需要が盛り上がりますから、景気にはプラスです。ところが、今年の夏は総じて雨が多くて気温もさほど上がっていないため、これらの消費は苦戦を強いられていて、素直に景気に悪影響でしょう。

ハリー:そうなると、日本の景気は悪くなるのですか?

藤代: ここで思い出してもらいたいのは、僅か1ヶ月ほど前まで、「水不足」が問題になっていたことです。春先から夏の入り口にかけては、晴れの日が続いて雨が降らない日が続いていました。これは経済、特に個人消費を押し上げる要因になって、この4-6月期の経済成長率は年率4%という高成長でした。要するに、この半年間をならしてみると、天候が景気に与える影響は、プラマイゼロという訳です。天気で景気が変動するのは、良い方向にも悪い方向にも一時的ですが、どうしても悪天候の方がニュースになりやすいので、悪影響が誇張されている印象を受けます。

ハリー: でも野菜(なす、ピーマン、きゅうり)が高くなるなど影響が出ていますよね?

藤代:天候不順の恐いところは、野菜価格の上昇を通じて、消費者のマインドを冷やすことです。野菜のように購入する頻度が高いものは、消費者が肌で感じる物価を引き上げる効果があり、節約意識を高めることに繋がるので注意が必要です。ただ先ほども指摘したとおり、天候が原因で景気が長い間崩れることはありませんので、そのうち天気も景気も回復すると割り切ることをおすすめします。消費にとって一番重要なのは賃金や所得ですが、幸いそこは緩やかながらも安定的に増えていますから、現状で景気が悪くなると、さほど心配する必要はないと思います。