藤代: おはようございます。今朝はオリンピックまでおよそ3年ということで、「経済効果に関する誤解」について2点、お話したいと思います。

J.K.:オリンピックの経済効果に期待する声は多いですよね。

藤代:私は職業柄「2020年まで日本の景気は強そうですか?」、「オリンピック終わった後、景気は大丈夫ですか?」という質問を頻繁に受けるのですが、ここには根本的な誤解があります。オリンピックで景気が盛り上がるのは事実なのですが、よくよく考えてみると、オリンピックが開催されるのはわずか17日間と短く、会場などは基本的に既にあるものを使用するので、直接的な効果はさほど大きくないと考えられます。高速道路や鉄道を整備した1964年大会とは比較にならないということです。

J.K.:もう一つの誤解とはどんなものでしょうか?

藤代:経済効果が最も盛り上がる時期です。結論から言うと経済効果がピークを迎えるのは、2020年ではなく、オリンピックの2年前にあたる2018年。今回はオリンピックのために、新たに作るものがさほどないとはいえ、競技会場、ホテル、交通インフラの整備などに多額のおカネが使われます。

昨年のブラジル大会のように開始の直前まで工事がずれ込むようなことにならない限り、建設投資が最も盛り上がるのは来年になるはず。ちなみに、これは過去の開催国のデータを分析したもので、私のみならず、多くの方が同じ指摘をしていますので、専門家の間では一般的な見方です。

J.K.:ということはオリンピック開催前に景気が悪くなるのですか?

藤代:良くも悪くもオリンピックはそれほど関係ありません。1964年大会や昨年のブラジル大会とは違って、今の日本は経済的に十分発展していますので、オリンピックの影響は相対的に小さいはずです。最後に前向きなデータを一つ紹介します。それは、オリンピック開催国は、その後に観光客が増える傾向があるんです。観戦にきた人やテレビ中継で目にした人が東京、日本に興味を持ってくれれば、2020年以降も、広い意味でのオリンピック効果が期待できます。