藤代::おはようございます。今朝はこの後8時30分に発表される失業率、有効求人倍率を見据えて「人手不足と移民」についてデータを紹介します。

J.K.:人手不足を移民で補うという話がありますよね?

藤代:現状の日本経済はバブル期かそれ以上の人手不足状態にありますから、それを移民で補うべきという主張があります。とはいえ、移民に関しては、色々な規制がありますので、人が足らないからといって、直ちに移民を受け入れるということにはなりません。日本は島国という特性もあって、移民の受け入れには慎重な国といわれています。

J.K.:移民の受け入れ数はどうなっていますか?

藤代:ここで意外なデータを紹介します。実のところ、日本は見方によっては「移民大国」です。OECDという国際機関による集計で移民のデータベースを確認すると、国内に1年以上滞在する人を移民として定義した場合、日本が受け入れている移民の数は2015年の実績でおよそ40万人。これは驚くべきことに先進国で4番目です。1位はドイツ、2位はアメリカ、3位はイギリス、それに次ぐのが日本です。中国を中心にアジアからの留学生、技能実習生が増加しています。ちなみに東京近郊の飲食店やコンビニで働いている方の多くの方はこれらの方々だと思われます。

J.K.:移民の受け入れ数が4番目というのは、初めて聞きました・・・

藤代:紹介した数値は、1年間に新たに入ってきた移民の数で、出て行った人の数は含まれていませんので、飽くまで一つの見方です。また、別の尺度を紹介します。今度は日本の人口に占める外国人の割合という定義です。これだと2%弱で、先進国のなかで極めて低いです。要するにデータは色々な尺度や定義があって、それらをどう解釈するかによって、見方はずいぶん変わります。あるデータでは、日本は第4位の移民大国ですし、違うデータでは、日本はまだ鎖国をしていると言えます。移民の議論は複雑ですが、こうした色々なデータがあるので、「人が足らないから移民」という単純な半紙ではなく、幅広い視点で話を進めてほしいと思います。