藤代:おはようございます。今朝は「景気が良いか悪いかの感じ方」、その判断の基準についてお話してみたいと思います。

ハリー: 人によって、「景気がいい」、「景気が悪い」、って分かれますよね。

藤代:景気が良いか悪いかは、感覚的な表現なので共通の基準はありませんが、客観的な基準としては①経済成長率②アンケート調査の数字で測ることができます。ここ数年の経済成長率は、日本の実力ベースよりも強いペースで伸びています。また「景気が良いか悪いか」をいろいろな人に聞いたアンケート調査でも改善がみられています。なので景気は上向いていると言えます。

ハリー:それなのに景気が良くない、という人がいるのはどうしてでしょうか

藤代:数字上では景気が良くなっているのですが、街角の声を聴くと必ずしもそうではないようです。私のように経済指標や株価をいつも見ている人間であれば、景気の強さを実感できるのですが、多くの方は日常的に景気分析をしないので、なかなか実感がわきにくいようですね。

ハリー:要するに数字と実感がズレているということですか?

藤代:なぜそのようなズレが生じるか私なりに考えてみたところ、年代別で景気の判断基準が違っている可能性があるのではないかと思います。ここで注目すべきは人口のボリュームが大きい40代後半から60歳位の方々です。この世代の方々はバブルを経験しているので、株価が3倍、4倍、給料もグングン伸びるという、当時のような状況を「景気が良い」という判断基準にしている可能性があります。なので、少しくらい景気が回復しても、実感が沸かないのだと思います。またその年代の方々は年功序列型の賃金体系が崩れ始めるなかで、今後給料が上がりにくいとい事情もあります。2016年度の給与を年代別にみると、40代前半以下の方々の給料は上がっている一方で、40代後半以降の方々の給料は下落しています。バブル世代と呼ばれる方が、景気の強さを実感できていないことが、「数値では好景気」、「街の声は実感に乏しい」という状況の背景にあるのではないでしょうか。