藤代:おはようございます。今朝は来週発表の「日銀短観」についてお話します。

J.K.:日銀短観はよく出てきますが、改めてどんな指標でしょうか?

藤代:その名のとおり日本銀行が調査している企業に対するアンケートです。海外でもBOJ TANKANと言えば通じるほど有名な指標です。日銀短観の調査項目は多岐にわたりますが、なかでも注目されるのが、大企業や製造業の業況判断。これは簡単に言うと、景気が良いか悪いか企業が企業に質問をしてそれを数値化したものです。この数字がゼロよりも大きければ、全体として景気が良いと回答しているということになります。

J.K.:今回はどんな数値になりそうですか?

藤代:当社の予想は+15。ゼロを明確に上回って、かつ、前回の3月調査と比べて3ptの改善を見込んでいます。ここ数ヶ月は輸出が過去最高に近づき、製造業の生産量も震災前を回復、このように製造業の改善が続くなかで、個人消費がここ数ヶ月は明確に持ち直して、なおかつインバウンド需要も引き続き好調ですから、製造業だけでなく非製造業でも改善が示されると思います。

J.K.:大企業は景気が良いと感じている一方、中小企業はどうなのでしょうか?

藤代:依然として大企業の方が景気の現状に満足している、という傾向は続いていますが、最近は中小企業も持ち直しています。ただ、ひとつ心配なのは深刻な人手不足に直面している中小の非製造業なんです。基本的には、人手不足は景気が良い証拠なのですが、最近は事業の継続そのものを困難にする可能性すらあるので、手放しには喜べません。有効求人倍率が43年ぶりに高水準に到達するなど、日本経済は構造的な人手不足状態にありますから、良いビジネスのアイディアが浮かんでも、いざそれを実行しようと思うとヒトが足らないから実行できないことがしばしばしあります。多くのイノベーションは中小企業が作り出しているので、そこが心配です。