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STORY

2018.01.20

情報学研究者/起業家のドミニク・チェンさん

++ Introduction ++
情報学とは、元々コンピュータをどのように社会的に使っていくか、
といった研究があり、コンピュータは客観的な情報を扱うもので、
そういう客観的な情報と接すると同時に、人間は生き物なので、
生き物にとっての情報は全然別の形で、主観的な情報なのだそう。
その客観的な情報と主観的な情報という2つの世界をどう結びつけるか・・・
といった研究をドミニクさんはずっとやってきています。
活動としては、例えばインターネット上でみんなが使えるアプリを作る。
設計はコンピュータでやりますが、
どう人々に使っていただくかというところを考える時に、人間の心理や心の動き、
感情などをちゃんと深く理解しないとうまく作れないのだそう。
なので、理系とか文系とかのカテゴリーが無くなり、両方やらなきゃいけない、
全方位戦なのだとか。

早稲田大学では、文化構想学部という、いわゆる文系の学部にいますが、
そこでデジタルメディアを教えていて、文系の教育を受けている子たちでも、
デジタル文化に興味を持っている子達がいっぱいいるので、
そういう子たちが色んなアイディアを思いついて、
それをどう形にしようかと、一からプログラミング勉強してみたり、
ロボットを動かしてみたり、とにかく物作りをすることをドミニクさんのゼミでは
やっているとのこと。

ドミニクさんは、東京生まれですが、ドミニクさんの父親は、
7カ国語を話せる台湾とベトナムのハーフ。
たまたま父親が東京に留学しに来ていたときに、
フランスの政府に雇われて、「おまえ、ちょっとフランス人にならないか」と
スカウトされ、国籍をフランスに変えたといいます。
その後、ドミニクさんが生まれたため、ドミニクさんはフランス国籍。
フランス人として、ずっと東京のフランス人学校に幼稚園から通っていたのだとか。

そんなドミニクさん、最近ハマっているのは「発酵」!
10年ぐらい発酵食を作って食べることにハマっているとのこと。
というのも、会社の共同創業者がぬか床の達人で、
一緒に会社を登記した日に、「これ、おまえに渡すものがある」と言われ
もらったのがぬか床だったそう。
当時は、ぬか床を知らなかったというドミニクさんですが、
彼の家に50年ぐらい代々伝わる年代物のぬかだったので、
そんな大切なものを自分に分けてくれるって命がけでやらないと・・・
と思い、やり始めたらこれが面白かったのだそう。
1日野菜を漬けておくだけで、野菜がすごく美味しくなっていることが不思議で、
「いったいこれはなんなんだろう?」と調べると、
数百億匹の菌たちがそれを醸してくれてて、しかもすごく機嫌をとるのが難しい…
手入れをしてあげると機嫌が良くなって美味しいものを返してくれるけど、
手入れを怠ってしまうと機嫌を悪くしてしまって、ひどい状態だと腐ってしまう。
そのツンデレぶりにやられてしまい、奥深さにハマったといいます。
当時、コンピュータを使ってシステムを作ったりしていたため、
色んな人がスマートフォンやパソコンでインターネットにアクセスしている姿が
菌たちに重なり、「インターネットはぬか床だ!」と感じたそう。


++ Until now ++
東京生まれ、フランス国籍のドミニクさんは、子供の頃はフランス式の
学校へ通い、学校を出ると日本の文化に接していたそうで、
ドミニクさんの通っていた学校は、60ヵ国籍ぐらいの子供が集まっていたため、
フランス語に限らず、人種も世界中の人がいるので、
子供心に「人間ってなんて多様なんだ!」と思ったといいます。
そう気づいたキッカケは、大人になっていくと
人を色んなことで分類していくことが社会でおこなわれていることに気づいたり、
人間はお互いを分け隔てるものなんだ、ということに気づいたこと。
最近だとインターネットの一部でもそういった問題が起こっているのをみると、
インターネットに関わる者としてなんとかしたいと思うのだとか。
そこは発酵の学びを活かして、
そういう問題にチャレンジしたいと思っているとのこと。

発酵の活かし方は、、、

『発酵している菌たちも別にみんながみんな平和に暮らしているわけではないけど、
すごく多様なんですよ。
人間が想像するよりも多様で、ぬか床っていうひとつの箱の中をとっても、
100種類以上の菌たちが生きていて、で、それが上手に環境が整うと、
みんなお互い、共生関係になるってわかってきているので、
じゃあ、どうやって微妙なバランスをとっているのか。
そういうところを学んで、データをとって化学として学んで、
それをもしかしたら人間の集団の作り方とか組織の作り方みたいなところに
応用できるかもしれないって感じですかね。
だから、発酵と腐敗と2つあるんですが、
なんでもかんでもポジティブに発酵だ!発酵だ!というのも、
実は自然のリアリティから遠ざかってしまうんですね。
発酵と腐敗って実は全く同じ現象で、
人間が見たときに、
「これは有害だから腐敗している、これは有益だから発酵している」と判断している。
だけど、菌たちっていうのはもっと微妙なバランスの上で成り立っていたりするし、
一見人間からみると、「こいつは何もしていないからいらないだろう」とか、
「こいつは有害だろ」と思っている菌が、実は時間の中で最初は有害なんだけど、
そいつがいないと有益な菌が出てこないってこともわかってくるんですね。
だから、なんでもかんでもポジティブ・ネガティブで分けて、
ポジティブなものだけで行こうという発想が実は古くなってしまっている。
例えば、人間で言ったらストレスってものに、
どう対処するかっていう現代社会の大きなテーマだけど、
ストレスは全部なくすと、逆にポジティブな感情が生まれなくなる
ということも心理学の研究でわかってきているんです。』

++ Right now ++
プライベートでは「能」を習っているそうで、
キッカケは、脳科学者の安田登さんという先生。
たまたま別のキッカケで、ドミニクさんはキリスト教の宗派の歴史に興味があって、
その話を友達としてたら、
安田先生が「キリスト教の話を勉強会でやるから」と教えてくださり、
行ってみたら、実は能の教室だったそう。
安田先生は世界古今東西の文化に精通しているので、
能の教室でそういう世界の話もするので、とても面白く始めたとのこと。
もうすでに1年半ぐらい、2週間に1回お寺に集まって、
朝から大声で能の歌をみんなで歌っていますが、
1時間は能の話だけど、もう1時間は脱線して雑談。
能の話から、だんだんキリスト教の考え方や、儒教の考え方、
古代シュメールの神話の話、もしくは能とバーチャルリアリティ(VR)との
関係などの話している時間が大変面白いのだそうです。

能とVRの親和性は、
能の舞台はつまらないようにできているのだとか。
例えば、演者は心を表現してはいけない。、
だから、究極の押しつけがましく無さで、伝えようとしてはダメなのだそう。
つまり、見立てっていう言葉がありますが、
能はお客さんに向けてやっているのではなく、後ろの大きな松の絵があり、
その松に向かって演じている・・・
それを勝手に観客が見ているという「てい」なのだとか。
そこでどうしてVRが関わってくるかというと、
お客さんは情報の少ない舞台の上でおこなわれている謎の物語を見ながら、
そこに自分の脳からプロジェクションしているので、
観客がすごく脳みそを使う演劇。
実はVRのヘッドセットをしなくても、脳に精通してくると
色々見えないものも見えてくるのだそう。


++ From now on ++
未来についても発酵の話になりますが、
発酵もただ嗜むだけでなく、
情報学研究者として新しい発酵の形を考えたいと思っているとのこと。
まだ完成はしていませんが、ぬか床ロボットを作っていて、
今まで3回ほど、ぬか床を腐らせてしまったため、
作っているぬか床ロボットは、ぬか床の状態を色んなセンサーで常に把握することで、
「そろそろかき混ぜ時だよ」とか「そろそろ発酵しているよ」など
ぬか床からメールを送ってくれたりとか、
もしくは、ロボットが家の中を動いてきて、自分のところにやってきて、
声や音などで「ちょっとかき混ぜてよ!」みたいなメッセージを伝えてくれる。
さらに重要なのは、そのロボットのカラダを与えることによって、
菌たちのことにもっと愛着を持ちやすくなる、
菌たちとコミュニケーションするということをテクノロジーを使って
ファシリテートしてあげる、というのが今作っているものとのこと。

この先、ロボットや人工知能が暮らしに与える影響とは・・・

『僕なんかは子どもの頃から外で遊ぶのと同時に
ファミコンで育ってきたみたいなところがあるから、
フィジカルな遊びとデジタルな遊びがごちゃ混ぜになっていて、
それを切り分ける必要は全然ないかなと思うんですよね。
よく人工知能とかロボットの話で、
「人間VS機械」みたいなそういう対立がよくマスメディアでも話されるんだけど、
全然そこはリアリティがなくて、だって考えてみたら、
最初人間が生み出したテクノロジーって「言葉」なんですよね。
それまで動物たちは言葉を持っていなかったけど、
僕たちは話してそれを文字として書き留めるみたな、
それってめちゃくちゃすごいテクノロジーで、
そのことによって、僕たちは過去のことを後悔したり、
未来のことを不安に思ったりっていう。
今、僕たちが慣れ親しんでいるリニアな時間軸というものを
生み出したわけですよね。
それは言語っていうテクノロジーがあるから生まれてきたんだけれども、
でもその言語のおかげで、僕たちは自分たちの心の機微とか、
すごくリッチな感情というものを文学とか芸術という形ですることができたと。
だから、人工知能とかロボットもどんどん僕たちと一緒に暮らすようになってきて、
僕たちはそこで新しい文学とか芸術をまた生み出していくんじゃないかな?と
考えるとすごくワクワクしますけどね。』

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  • CONNECTED BY LOVE / JACK WHITE
  • YOUNG FOLKS / PETER BJORN AND JOHN
  • TEAR DROP / MASSIVE ATTACK
  • LET’S DANCE(DEMO) / DAVID BOWIE

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