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STORY

2017.12.23

映像制作スタジオ「ポリゴン・ピクチュアズ」のCEO、塩田周三さん

++ Introduction ++
現在、ポリゴン・ピクチュアズが手がけた「GODZILLA 怪獣惑星」公開中。
アニメーションでしか描けないゴジラを描いてみようと試みて作った作品になります。
話の内容もゴジラの原点に対するリスペクトもあるけど、そこから発生する物語は
今までに無かった構成を考え、今までに無いアングルで伝えたいと思ったとのこと。
ポリゴン・ピクチュアズといえば、「セルルック」という技術が有名ですが、
セルルックに最初挑戦し始めたのは2009年頃。
日本の案件ではなくディズニーの番組で、
元々のキャラクターデザインが非常にグラフィカルで、それを活かすべく、
CGだけどセルっぽい絵を作ることを研究開発し、その成果を2014年の
「シドニアの騎士」で持ち帰ってきたといいます。
さらにそこから日本のアニメファンにアピールするような、
アニメ調なルックをCGで、深掘りしてきたとのこと。
日本のアニメファンの目はすごく厳しいので、
最初にアニメファンにちゃんと満足してもらいつつ、
日本のセル調は世界でも類を見ないようなひとつの特徴的なルックで、
塩田さん曰く、セル調は日本が世界に勝負できるルックなので、
それにCGっていう新しいツールの中で、さらに付加価値をつけていくということを
ずっと試みているのだとか。
セルルックの作る工程は、手書きではなくCGと基本的には一緒で、
CGは三次元の空間の中に人形があって、背景の山々があって・・・という造りですが、
CGと違うのは背景の多くは、従来のアニメ産業の方々に描いていただいて、
それを組み合わせるのだそう。造形は、CGの中で造形して、
それを最終的に絵にするときに、セル調にするのだとか。
実はCGをベースにしたアニメは、「けものフレンズ」や「正解するカド」など、
今年ほど沢山の作品が出たのは初めて。
そういう意味では、手書きだからできる温かみや、
何枚何枚も描く人間の線の揺れが温かみに繋がっていて、それに対抗するCGが、
温かみを作るのに高度の技術が必要でそれがついに追いついてきたからなのでは…
とおっしゃっていました。


++ Until now ++
ポリゴン・ピクチュアズは日本のCG制作国内屈指の会社ですが、
塩田さんの社会人スタートは、
当時の新日本製鐵(現在:新日鐵住金株式会社)に就職。
製鐵所で3か月だけ研修をし、そこで思ったのは、対象物がなんであれ、
ものづくりっていうのは如何なるものづくりもすごくクリエイティブな作業である、
ということ。
現場で働いている方々ひとりひとりが、クリエイティブな方という印象があったそう。
もう一つは、クリエイティブな営みであっても、どんなものでも、
それがビジネスになり量産していくためには、
システマティックにものが作られていくこと。
塩田さんがこの業界に来た時は96年で、世界で初めてのCGの長編映画として
ピクサーが作った「トイストーリー」が出たばっかりで、
どうやって作っているのかエンドクレジットなどを見ながらひも解いていくと、
どうやら色んな職種の人が連携してやっているらしいと分かった時に、
「あ、これは製造業と一緒やん!」と思ったそう。
アニメーションという生産物を作るけど、その過程においては、
鉄をつくるということと差ほど違わないなと気づいたのだとか。

トイストーリーが出た時は衝撃だった。
CGってそれまでは、万博やCMなど客寄せ的な感じで使われていたものが、
まさか映画として駆使できると思っていなかったとのこと。
プレイステーションも同じ時期で、デジタルコンテンツのブームだった。
そんな中、フラっとこの業界にきたとのこと。
その経緯は、30歳を目前に一人前にならなきゃという切迫感の中、
でもやりたいことがなく焦っていると、
製鐵時代の先輩がたまたまポリゴン・ピクチュアズのコンサルタントとして
働いていて拾ってくれたのがキッカケで、それまでアニメ業界も全く興味がなく、
CGについても全然知らなかったのだとか。

そこから時が過ぎ、アメリカで務めていたことも。
「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」も手掛けた作品の一つです。
「クローン・ウォーズ」は、ジョージ・ルーカスの会社、
そしてジョージ・ルーカスのお金で作っていた番組なので、
おそらく世界市場最高のバジェットのテレビシリーズなのでは?とのこと。
関わっていた人たちも、スターウォーズの実写で関わっていた人たちが
アニメーションを作っていたので、ひとつひとつが丁寧に時間を使っていたといいます。
最終的には、ジョージが見て指示をしていたので、
テレビであんな贅沢なアニメーション番組は二度と出てこないのでは?
ともおっしゃっていました。
制作過程でアメリカと日本の一番の違いは、
日本は、良くも悪くも、言葉なしで通じ合う阿吽の呼吸でわかりあう豊かな民族だけど、
アメリカは多民族国家だから、何をするときも、
すべてキッチリ体系化をしないと物事が進まない。
その結果、アニメーションの制作プロセスを最初に作ったのは、ディズニーで
そういうものを日本は学んで、当たり前のものづくりの中で、
理論的にものを作ることを知ったとのこと。

++ Right now ++
塩田さんは6歳から15歳までアメリカに住んでいました。
今でも海外の方と直でコミュニケーションとれるのは大きいのだとか。

『僕の営業スタイルは、スースースーとみんなの中に入って、
ワーって飲んで歌って仲良くなって、仕事に繋げるっていう。
コンベンションとかパーティとか行くと、
「だいたい周三は最後までおるやつや」っていうブランディングで、
だから知り合いも多いですし。」

と、このように輪を広げているとのこと。

趣味は、バンド活動。
ボーカル担当で、ジャンルはクラシックロック。
67年ぐらいから70年中頃までが好き。
やっているバンドはコピーバンドで、バンドメンバー平均年齢50歳後半だけど、
練習のあと居酒屋で「どうやったら僕らファンがつくんだろう・・・」と
真剣に話し合う可愛いバンドなんだそう。


++ From now on ++
今の日本のアニメ業界については、、、

『良い面は、世界で例を見ないぐらいの、多様なテーマやスタイルで
アニメーションをあらゆる年齢層に向けて作れていることは稀有。
この精製能力はなかなか真似ができないと。
一報で、日本人は阿吽の呼吸の中でやってしまうところがあって、
物の作り方が手塚治虫先生が作られた時から差ほど変わってきていない、
技術革新が起きてないというのが、アーティストの方々の疲弊であるとか、
人材不足に繋がってきているので、すごくポテンシャルがありながらも、
ものの作り方のアップデートをもう少ししていかないと辛いんじゃないかなと
思いますけどね。』

制作技術でいうと、今ある技術をもっと積極的に使っていって、
参考にすべきものは本当に色々あるので、していく。
日本のアニメは世界中の人たちにアピールされていて、
そういうものを届ける、Netflixやamazonなどが出てきているわけだから、
届けられないっていう言い訳は利かないので、
最初から自分たちの意思で届けることが必要。

最後に塩田さんの夢は、、、

『僕は、今はアニメーションという媒体ですけれども、
結果的に我々がやっているものって、ないもの…
アニメーションって声以外は本当に存在していないわけですよ。
で、全くないものに対して、人々が感情を催してくれるわけじゃないですか。
究極的に僕らは何をやっているかというと、
受け手の方の感情を設計していると思っていて。
この感情設計能力をアニメーションもそうなんですけど、
色んな媒体が近寄ってきているので、この能力をアニメーションに限らず、
プロダクトとか色んなものに使っていきたいなと。』


ポリゴン・ピクチュアズ

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