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ウディ・アレンと音楽

■5月21日月曜日:ウディ・アレンとクラリネット

NYブルックリンに生まれた、見た目のパッとしないユダヤ人の少年。
彼は12歳のとき、ラジオから流れるJAZZのメロディに魅了されます。
すぐさま楽器屋に走って手にしたのは、中古のクラリネット。
以来、クラリネットは彼の生涯の友となり、
一時は、真剣に音楽の道で食べていこうと考えたこともあったとか。
いまも毎日1時間、かかさず練習しているそうです。

映画撮影の合間をぬって訪れたニューオリンズで、
地元の音楽フェスティバルに飛び入り参加!
ステージに立つ醍醐味を味わったウディ・アレンは、NYに戻るやいなや、
音楽好きな友人たちとオリジナルバンド
「ニューオリンズ・フューネラル&ラグタイム・オーケストラ」を結成します。

毎週月曜日、アッパーイーストのクラブで演奏するのが彼らの習慣。
代表作「アニー・ホール」が、アカデミー賞にノミネートされた時も、
授賞式を欠席して、いつものようにクラブで演奏していたそうです!

1996年には、バンドを引き連れてヨーロッパツアーを敢行。
ミラノ/ボローニャ/ヴェネチア/マドリッド/パリ/ロンドンなど
23日間にわたるツアーの様子は、
ドキュメンタリー映画「ワイルドマン・ブルース」におさめられています。


M Wild Man Blues / Woody Allen and His New Orleans Jazz Band

■5月22日火曜日:ウディ・アレンが惚れたラグタイム

19世紀後半から〜20世紀初頭:第1次世界大戦直前ごろまで、
アメリカで流行した音楽スタイルのひとつ、「ラグタイム」。
その後JAZZは、ミシシッピ川をのぼってシカゴへ渡り、
さらにNYでさらなる進化を遂げてゆくわけですが、
ラグタイムはニューオリンズにとどまり、
いまとなっては、ほとんど忘れ去られてしまったジャンルです。

クラリネット奏者としてのウディ・アレンは、ラグタイムについて
「いい意味で野暮ったく、悪くいえば時代遅れ。
でも、まるでハチミツ風呂に入っているような気分になるんだ」
といいます。

彼が自ら率いるバンドの名前もずばり、
「ニューオリンズ・フューネラル&ラグタイム・オーケストラ」。
どこか懐かしいそのサウンドは、
ウディ・アレンの映画づくりとも、共通しているところがあります。

ウディ・アレンの映画はNYが舞台のことが多いですが、
流行がめまぐるしく動くNYでありながら、
スクリーン上に映し出されるのは、ハーレムでもソーホーでもなく、
スタイリッシュでシックなアッパーイーストサイド。
登場人物も、物語の展開も、いつも似通っていて新鮮味に欠ける、
という意見もありますが、
かといって、今までと全く雰囲気がガラリ変わってしまうと、
ちょっと拍子抜け、なぜかガッカリした気分になったり。

少し古臭くて、ダサくて、それが却って居心地が良い。
ウディ・アレンがラグタイムを愛する理由が、よくわかる気がします。

Swing A Lullaby / Woody Allen and His New Orleans Jazz Band

■5月23日水曜日:ウディ・アレンと音楽の「甘い関係」

ウディ・アレン初期のコメディ映画「泥棒野郎」。
ドタバタ喜劇を地で行くこの映画で、ウディ・アレンは
チャップリン風のコミカルなテーマ曲を使っていました。
それを見た 編集担当のスタッフが、
陽気なニューオリンズJAZZのほうが合うのでは?と提案。
これが功を奏し、以後JAZZとウディ・アレン作品は
きってもきれない関係となりました。

大半のウディ・アレン作品には、
映画のために書き下ろしたオリジナルスコア、というものがありません。
既存のJAZZナンバーの中から、監督みずから、曲をセレクト。
しかも、わざとレコードの針のプチプチッという音を足したり、
臨場感たっぷりのステレオではなく、あえてモノラルで録音したり。

「僕は、映画づくりは一大執筆プロジェクトだと思っている。
脚本だけじゃなくて、編集も、配役も、音楽をえらぶことも、
すべてが広い意味での執筆活動なんだ」

1979年の映画「マンハッタン」でのエピソード。
NYの街を象徴する景色が、次々に現れるオープニングの場面で、
ウディ・アレンはお気に入りJAZZナンバー
「I can’t get started」をBGMに使う予定でした。
ところが、映像を見た編集スタッフが、独断で、
ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」に変更。

これが映画の雰囲気に驚くほどぴったりハマり、
結局、映画「マンハッタン」は、
全編、ガーシュウィンの音楽で彩られることになりました。

RHAPSODY IN BLUE / GARY GRAFFMAN

■5月24日木曜日:ウディ・アレン唯一のミュージカル映画「世界中がアイ・ラヴ・ユー」

恋の街:パリを舞台に、
あるアメリカ人一家のさまざまな恋もようを、歌とダンスで描いた物語。
1996年の映画「世界中がアイ・ラヴ・ユー」。
ヨーロッパの映画に心ひかれていたウディ・アレンが、
フランス映画「シェルブールの雨傘」にオマージュをささげた作品です。

ゴールディ・ホーン/ジュリア・ロバーツ/エドワード・ノートン/
ナタリー・ポートマン/ティム・ロスなど、
ハリウッドの豪華な顔ぶれが出そろい、
しかも、俳優みずから地声で歌い、ステップを踏む。
俳優とはいえ、プロのシンガーではないので、
ちょっと音程がアヤシイところが、愛嬌たっぷりです。

実は撮影前、俳優陣は
これがミュージカル映画だということを知らされていなかったとか!
ブロードウェイのような、ショウupされたミュージカルではなく、
下手でも構わないから、自分の気持ちをストレートに歌にする。
日常的な会話の延長として歌が流れる、そんなミュージカルにしたい、
という監督の意図を反映した結果だったそうですが、、、
それにしても、台本をもらったキャストはさぞかし驚いたでしょうね。

そんな中、女優のドリュー・バリモア1人だけは、吹き替え。
自らも認める極度の音痴のドリュー、
「私はぜったい歌えません!」と、ウディ・アレンに直訴。
最初はしぶっていた監督にも、実際にドリューの歌をきいて納得。
「人間が耐えうる限界を超えていた」ということで、
吹き替えを了承したそうです。


桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。
エッセイ「あなたが輝くとき」の出版(同タイトルのCDも発売)、ドラマスペシャル「吉原炎上」「肉体の門」の音楽担当、また、NHK「アーカイブス」のテーマ曲を手がけるなど、意欲的に活動中。
代表作は、ドラマ「101回目のプロポーズ」、映画「子ぎつねヘレン」、NHK「アーカイブス」など。

nishimura-yukie.com

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