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TOKYO GAS
LIFE IS A GIFT

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この番組は、毎週、ある一人の人間の人生にフォーカス。誰もが知っている有名な
ワンシーンの裏にあったストーリーから、知る人ぞ知る隠された感動の出来事にも
クローズアップし、さまざまなエピソードや音楽とともに綴る30分間のプログラムです。

BACK NUMBER

2016.7.2

ちひろ美術館・東京 学芸員 原島恵

絵本作家・いわさきちひろさんをはじめ、世界の絵本画家の作品が展示されている「ちひろ美術館・東京」。現在開催中の企画展「村上春樹とイラストレーター」を担当した学芸員の原島恵さんに、展覧会のみどころ、学芸員という仕事の喜びについて伺います。

イラストレーションなので、もちろん村上さんの文章があって、絵があるのかと思って調べていったんですけど、作品がそれぞれ成り立ち方が違うということにまず驚きました。今回、初期三部作の表紙絵も展示しているんですが、イラストレーターの方たちそれぞれに、まずは文章を非常によくお読みになって、そこか得たインスピレーションを絵にしてるんですけど、イラストレーションがただ単に文章をあとから説明している絵ではないんですね。絵そのものが物語っているのが非常にありまして、で、なおかつ文章が先にあって絵が描かれているものだけではなくて、最初に絵を描いて、その次に村上さんが文章を書いて、さらに、イラストレーターの方がお描きになられたりとか。だったら、イラストレーションっていう視点で、村上春樹さんの作品をたどってみようと思ったことがきっかけとしてありました。

『セロニアス・モンクのいた風景』刊行の運びになったときに、安西さんにお声をかけられたそうで、安西さんも引き受けられたそうなんですけど、突然亡くなられてしまったので、アトリエを調べていただいたけれど、やっぱり残されていなかったので、じゃあ表紙の絵はどうしようかっていうお話をしたときに、和田誠さんがそのあとを引き継いで装丁を手がけられたんですね。今回その原画を展覧会で展示しているんですけど、それがですね、この3人の関係がすごく表れているなと思うんですけど、和田さんが、安西さんのタッチを少し真似して、お描きになってるんですね。この装丁が、表紙が、和田誠さんが安西さん風にお描きになったセロニアス・モンクと安斎水丸さんの絵、で、裏表紙は安西さんがかつて別の本のために書かれたセロニアス・モンクの後ろ姿のイラストレーションを使っています。3人ともセロニアス・モンクが好きだったという点でも共通していた3人の一番最後の共作が、この表紙絵になります。

(放送より抜粋)


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