SAPPORO BEER OTOAJITO

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エリック・クラプトン『アイ・スティル・ドゥ』

三大ギタリストから神とまで呼ばれるようになった人だけ会って、この新作には文句のつけようがない。日本流で言うならば、ギターの人間国宝が演奏しているようなものだからだ。通算23作目、キャリア45年以上50年近い。若い時は、ヤードバーズ、クリーム、アメリカに渡ってデレク&ザ・ドミノスなど、それなりに音楽を旅して来た。ジョージ・ハリソンの妻だったパティ・ボイドとの恋とか、スキャンダルも積んできた。酒とドラッグで人生を棒に振りそうなこともあった。そういった全てを乗り越えて、真の意味で大人になり、もはや“エリック・クラプトン”というジャンルと呼びたい位置を築き上げている。プロデュースは、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ザ・フー、イーグルスなど超有名グループを手掛けてきた名匠グリン・ジョンズ。クラプトンとは39年前の名作『スローハンド』以来の仕事となる。グリン・ジョンズというプロデューサー/エンジニアは、加工した音を嫌い、スタジオで鳴った音を重視するタイプだ。魚を食べる事で例えるなら、調理に凝る事無く刺身=レアを提供する人で、本作にあるリラックスしたラフなイメージは、プロデューサーの方針である。楽曲は暖かい音色のアコースティック・ギターが特徴のポール・ブラディ&ジョン・オーケン作の「アイ・ウィル・ビー・ゼア」、クラプトンのオリジナル曲「スパイラル」、「キャッチ・ザ・ブルース」、その他、ボブ・ディラン、J・J・ケール、ロバート・ジョンソンなどのカヴァーとの組み合わせだ。バックはいつものスティーヴ・ガッドやネイザン・イーストを中心としたものでなく、アンディ・フェアウェザー・ロウなど、イギリス人中心。ゲストのダーク・パウエルだけがアメリカ人でアコーディオン・フィドル、バンジョーなどの名手として知られる。ファンならこうして新作を聴けるだけで幸せだ。