SAPPORO BEER OTOAJITO

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ボブ・ディラン『追憶のハイウェイ61』

世界中が湧いたボブ・ディランのノーベル文学賞受賞。さまざまな大物ミュージシャンが、この快挙にコメントした。しかし未だにノーベル賞選考委員会とボブ・ディランは連絡がとれていない(10月22日現在)。本人は“俺の他に欲しいやつがいるなら、そちらへ差し上げたら良い”、多分そんな心境だと思う。彼がやってきたフォークやロックは、あらゆる権威へのアンチテーゼだったからだ。1969年11月、ローリング・ストーン誌に“俺は音楽を演奏し、曲をかく、それだけだ”と語っている。この姿勢は、75歳になった今も全く変わっていないし、ぶれていない。数あるボブ・ディランのオリジナル・アルバムの中から1枚を選ぶのは難しい。これを機に、ボブ・ディランに注目したい方は、本当は全てのアルバムを聴き、詞を読んで欲しい。あえて1枚というなら本作だろう。世にあまたある“ロックの名盤100”的な単行本や企画記事ではこの作品は必ずベスト10に入る名盤とされる。録音は1965年6月15日から8月14日までの間に5回のセッションを行い、その中からベスト・テイク9曲が選ばれた。名曲中の名曲で、ディラン本人も自分の書いた曲の中で好きと言う「ライク・ア・ローリング・ストーン」は1965年6月15日の録音。印象的なイントロのオルガンは、急遽セッションに呼ばれたアル・クーパーが弾いていた。恐らくほとんどの曲はクリックも使わない一発録音だろう。ボビー・グレッグのドラムに合わせて参加したミュージシャンが音を合わせている様子が目に浮かぶ。ビートルズが現役でまだポップス寄り、ロックという言葉も一般的には定着していなかった51年前、さらっとロックの王道をゆくサウンドをつくり上げたのだから凄い。本人はまだ24歳。その若さと成熟した大人っぽい感性が同時に宿ったサウンドは、ノーベル文学賞に関係なくすべてのロック好きに聴き継がれてゆくことだろう。