SAPPORO BEER OTOAJITO

COLUMN SAPPORO BEER "OTOAJITO" COLUMN

ジミ・ヘンドリックス『マシン・ガン』

サブ・タイトルに“ザ・フィルモア・イースト・ファースト・ショー 1969年12月31日”とある。その通り、本作は、死の前年の大晦日に行われたジミ・ヘンドリックスの新しいバンド、バンド・オブ・ジプシーズのデビュー公演であった。メンバーは、ジミ・ヘンドリックスに加えて、ベースのビリー・コックス、ドラムスのバディ・マイルスというトリオ編成。バンドはデビューを記念して、1969年12月31日に2回、1970年1月1日に2回、計4回のライヴを行った。本作は、1969年12月31日の初回のライヴを初めてセット・リスト順に完全収録したものだ。このライヴのセット・リストは、ほぼすべての曲がそれまでオーディエンスの前で演奏されたことのない曲だった。ビリー・コックスは後に“すでにリリースされた曲でなく、何か違うものをオーディエンスに聴かせたかった”と語っている。ソールドアウトだったニューヨークのフィルモア・イーストのオーディエンスは、それまでのバンド、エクスペリエンスの代表曲だった「パープル・ヘイズ」や「見張塔からずっと」などといったものの代わりに、新しいジミ・ヘンドリックスの「パワー・オブ・ソウル」や「ヒア・マイトレインAカミン」を聴くことが出来た。このライヴにジミ・ヘンドリックスは相当にナーヴァスになって臨んだようだが、本作を聴けば分かるように、オーディエンスはあっという間にジミ・ヘンドリックスの新しいバンドの虜となった。特にファズフェイス、ワウ、ユニヴァイヴに加えてオクタヴィアも初めて聴衆の前で使った「マシン・ガン」はバンド・オブ・ジプシーズの最高傑作のひとつと言える。このバンドでジミ・ヘンドリックスはよりブルーズに接近し、ただ影響されているだけでなくブラック・ミュージシャンならではの新たなアイデンティティを感じさせる音楽へ切り込んで行った。歴史に残る75分の名ライヴだ。