SAPPORO BEER OTOAJITO

COLUMN SAPPORO BEER "OTOAJITO" COLUMN

『Little Broken Hearts』/Norah Jones

DVDで観た、トニー・ベネットとのデュエットが印象的だったノラ・ジョーンズのデビュー10周年、5作目。大ヒットしたジャジィなデビュー作、バンドに重きを置いた2作目、シンガー・ソングライター色の濃い3作目。そして、スタッフとバンドを一新してモダーンな味の前作。ノラ・ジョーンズは1作毎にそのサウンドを変え、アーティストとしての可能性を探り、進化してきた。そして今回はまたまたサウンド・アプローチを変え、リズミカルなのにダークで刺激の強いサウンドを創り上げた。これは、彼女が共同プロデューサーとして選んだ、デンジャー・マウスことブライアン・バートンの貢献が大きい。グラミー賞のベスト・プロデューサーにも選ばれたデンジャー・マウスは、ジェイZ、ゴリラズ、ブラック・キーズ、ベックなどを手掛けてきている21世紀の人気プロデューサーのひとりだ。昨年、デンジャー・マウスとイタリアの作曲家ダニエル・ルッピは架空のサウンドトラック・アルバム『ローマ』を発表した。この架空の映画の主演がジャック・ホワイトとノラ・ジョーンズだった。そんなこともあって、彼女とデンジャー・マウスは関係を深め、共に曲作りを始めた。ここで、彼女はデンジャー・マウスの曲作りの発想やリズム感覚にかなり影響を受けたようだ。全体のコンセプトは、恋愛であり、それもどちらかというと失恋寄りだということは、表題曲が語ってくれている。この失恋のイメージを悲しく捉えるのでなく、どちらかと言うとザラザラとしたバーサタイルかつオルタナティヴなサウンドで表現しているのが、本作の特徴だ。ダークなのだが、その内側にはリアルでどこか肯定的な面もある。トータル・コンセプト・アルバムなので1曲を選んで聴くのでなく、全体を通して伝わってくる彼女の魅力を受け止めてあげたい。かなり異色で意欲的なアルバムなので大ヒットすれば、ノラ・ジョーンズはさらに自信を持ち、その可能性を広げていくはずだ。