ARCHIVE | SAPPORO BEER OTOAJITO | Every Sat. 18:00-18:54

2023.07.21 ON AIR
先週に引き続き、
原田郁子さんをお迎えしました。
原田さんが観て
印象に残っているという最近のライブは...

前半回ではコロナ禍の影響で
変化した生活の過ごし方や、
その中で聴くようになった
音楽の話で盛り上がりましたが、
後半回の冒頭は原田さんの
音楽ルーツの話題から。
4歳の頃からエレクトーン教室に通い、
エレクトーンは買ってもらえなかったそうですが、
祖母の家にあったアップライトピアノを譲り受け、
友人達と連弾をして遊んだりしていたそう。
これまではピアノから作曲することが
多かったという原田さんですが、
コロナ禍になって
宅録で打ち込みを経験していくうちに、
先にドラムなど土台の音がないと、
制作途中で曲がギクシャクするように
感じるようになったそう。それでもやはり、
鍵盤のフレーズや音色から
音楽をイメージすることが多いと語りました。

「我流で音楽をやっているアーティストって
　面白いですよね。この響き、この音が
　気持ちいいとか、外部エネルギーの影響を
　受けない人ってたまにいるじゃないですか。
　自分の世界を追求すると、
　ものすごい威力を持つ作品になると思う。」
とクリス・ペプラーが語ると、これに反応して
原田さんが上げたのがジャズ・ピアニストの
セロニアス・モンクでした。
『ソロ・モンク』というピアノソロ作品が
一番好きだそうで、
「誰かと一緒に演奏しているのも
　好きなんですけど、自分本来というか、
　どういう風に音が聴こえているんだろうって
　思うような不思議な世界で、理想というか、
　あんなものを残せるって
　スゴいなって思います。」と話しました。

ここでクリス・ペプラーは、
ミュージシャンには自分のために表現する人と、
他のために表現する人の2種類いるのでは
ないかという持論を展開。レディオヘッドの
トム・ヨークを例に挙げ、
「彼は自分のためだけにやっているなと。
　自分に対してすごい厳しい人だと思うんです。
　その自分を満足させるための作品を作っている
　感じがライブで見た時にしたんですよね。」
と話しました。続けて
「原田さんはどちらかという人のため
　って感じですか？」と訊くと、原田さんは
「その場所？バンドだったらそのバンドが場所、
　ライブハウスだったらその空間、
　そこに対してどう音を鳴らすかですね。
　自分がゼロからっていうのは
　あまり得意ではないんです。だから宅録をやって、
　こんなに自分が出ていいのかなって
　初めて思いました。」と答えました。

そんな原田さんが観て
印象に残っているという最近のライブは、
3月に行われたビョークの
来日公演『コーニュコピア』。クリス・ペプラーも
同公演を見に行ったということで、
魅力を語り合いました。クリス・ペプラーは、
コロナ禍という時代背景や音響などを含め、
これまで観たビョークのステージの中でも
トップクラスに良かったと絶賛し、原田さんは
舞台装置の凄さに
「お金の使い方が本当に素晴らしい。
　あそこまで芸術に使い切るって
　他に思い当たらないです。」と感想を述べました。

ビョークの来日公演で盛り上がる二人ですが、
先日リリースされた原田郁子さんの
15年ぶりのソロアルバム『いま』は、
ビョークの最新アルバム『フォソーラ』を手がけた
ヘバ・カドリーがマスタリング・エンジニアを
担当しています。『いま』のミックスを担当した
エンジニアの奥田泰次さんからの提案で
実現に繋がったそうですが、その仕上がりに
原田さんも驚いたと明かしました。
「私が家で録った声だから、
　めちゃくちゃ小さいんですよ。
　ちゃんとしたマイクでも録れてないんですけど、
　奥田さんもそうだし、ヘバさんも
　小さいものを大きく立派にするんじゃなくて、
　小さいまま解像度を上げてくれて感動しました。」　

『いま』には詩人・谷川俊太郎さんの
書き下ろしの詩を歌にした『いまここ』が
収録されており、曲の終盤では谷川さんの朗読を
聴くことが出来ます。
「録ってみようってなって一発目のテイクです。
　活字からどんどん音が踊り出すような感じで、
　最後に『うぱぱうぽぽ』って言うところが
　あるんですけど、
　そこも谷川さんのリズム感ですね。」と紹介しました。
これからライブでどんな風に披露出来るか、
原田さん自身も楽しみにしている楽曲だそうです。

原田郁子さんの情報はこちらから

次週7/28は川崎出身のラッパー/トラックメイカー、
JJJさんをゲストにお迎えします。
音楽を始めたきっかけや影響を受けた
ミュージシャンなど、詳しく伺います。
ぜひ、お聴きください。