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2011/01/22 山崎将志(ビジネスコンサルタント)


(撮影・小林靖)
山崎将志(やまざき・まさし)
ビジネスコンサルタント。
東京大学経済学部卒業。1994年にアクセンチュア入社後、2003年に独立。事業再生コンサルティングのアジルパートナーズ、家事を宅配する生活総合支援サービスのカジタク、5円コピーのAPソリューションズ、プロフェッショナル研修の知識工房等、複数の事業に株主、経営者、実務担当者の3つの立場から運営に携わる。
2010年に著した『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)、『残念な人の仕事の習慣』(アスコム)はベストセラーになった。
そのほか主な著書・共著に『ロジカル・シンキングの道具箱』『会議の教科書』『時間とムダの科学』など。

山崎さんはコンサルタントでいらっしゃるんですね。今名刺をいただいておりますアジルパートナーズというコンサルティング会社のパートナーでいらっしゃる。具体的にはどういうお仕事になるんですか?
もともとは事業再生という分野のコンサルティングをやり始めたんですけれども、最近はベンチャー企業の経営を主にやっていまして、主に2社、カジタクという商売、家事の宅配ということなんですけれども、人様のおうちのお掃除をしたりとか、宅配クリーニングをしたりとか、そんな商売を1つやっております。もう1つは、5円コピーと申しまして、スーパーとかコンビニでセルフコピー機ってございますね、あれを半額で刷れる機会を小売業の皆様の販促支援ということで全国に置いていると、こんな商売がメインで2つありまして、ほかにもちょろちょろといろいろやっているものでございます。
企業へのコンサルティングサービスもご提供されながら、具体的なベンチャー企業の育成、模型に直接携わって、その事業を成長させるというようなお仕事もしていらっしゃるんですが、今まで大手のコンサルティングにいらっしゃいました、それから独立をされます。いろいろ会われた、気づかれた、そんな中から「残念な人」というキーワードが出てきているんですけれども、この本を読むとわかるんですけれども、この「残念な人」という定義は、山崎さん、この本ではどういうふうにしていらっしゃいますか?
やる気もあります、能力もあります、でも、何か1つ間違っているために結果が今1つになってしまう。例えば、有名な資格を持っています、毎日一生懸命夜遅くまで働いています、でも、何か評価されない、お客さんから満足されない、こんな方々のことを「残念な人」と定義づけています。
残念な人が、ここが残念だ、ここだダメだダメだと言っている本では決してないわけですね、これは。ここを本当にちょっと変えるだけで、あなたの出力・成果というのは爆発的に爆発できるのに、あなたいい資産持っているのに、そのあと1つの工夫があればいいのにと。その工夫について教えてくれている本、そういう理解でよろしいですね。
おっしゃるとおりです。
もったいない人、日本の企業はもったいない企業も多いんですけれども、日本の国ということを見ればもったいない国、すごいですよね、日本という国も企業も人も。そういうことも踏まえつつ、まずは私たちが現場で仕事をするに当たっての物の考え方、それからどういうふうにその考え方をもとに行動したらいいのか、仕事していったらいいのか。
山崎さんが今までのお仕事の中で、ここちょっと残念だな、もう少しここを工夫していればもっとポテンシャル上がるのに、成果上がるのにという例が幾つかあって、これ全部番組の中で挙げてしまうわけにはいかないので、幾つか挙げさせてください。
1、メールを送るときに件名に「緊急」「重要」などのラベルをつける人、これは残念な人ですよ、なぜでしょう、考えてみてください。
2、会議などで「どう思う?」って聞く人。いますよね。なぜダメなんでしょうか。
3、転職の履歴書の応募動機に「御社のビジネスに将来性を感じたので」と書く。
4、自己PRに「協調性、行動力があります、ぜひ私を」と書く。
5、会議ではきちんとメモを取り続けている。
以上、番組がピックアップした「残念な人」なんですけど、山崎さん、解説をお願いしたいんですが、全体に言えることはどういうことなんでしょうかね。
一言で申しますと、相手の立場に立ってないというのが一番の原因なんじゃないですかね。
緊急というのは自分が緊急だと思っている。
そうなんですね、ほとんど「緊急」とか「重要」と書いてあるメールを開けてみると、送り手にとっては緊急かつ重要かもしれないんだけれども、受け手にとっては大して重要じゃなかったりすることっていうのは、時々あるんじゃないですかね。
山崎さんの本の中で、残念な人というのは自分以外の人との関係性の中で物事を見られない人がちょっと残念だと書いていらっしゃる。相手との相互関係というか、相対感覚がないといかんよということですね。
おっしゃるとおりですね。
あと、「御社のビジネスに将来性を感じたので…」はダメですか?
新卒だったらいいと思うんですけども、転職の場合というのは、今いらっしゃる会社でどんなことをしてきたのか、どんな実績を上げてきたのかが重要であって、今までやってきたことと新しく入る会社とどんな接点があるんでしょうかと。ここを採用する方は聞きたいわけですよね。「あなたは何がしたいですか、何ができますか?」ということが先で、将来性を応募してきた方に評価されても会社としては「うーん」という感じですよね。
確かにね。「御社のビジネスに将来性を感じました」、「あなた誰ですか?」と。
あと、会議でメモを取り続けているのはダメですか?
会議というのは、基本的にはディスカッションというか、話し合いをしてアイデアを出したりとか、何かを決めたりとか、そういう場でして、よく会議に出るとずっとメモを取っていらっしゃる方がいますけれども、何の発言もしない。じゃ、何のためにいるんですか?という話ですね。メモを取りに来ているんだったら、後で議事録でも読んでおいてくださいよ、という話ですよね。
そうすると、まとめてみると、1つは相対感覚を持つというか、相手とのコミュニケーションを持って、相手がどう思うのかということを考えた上で情報発信するということが1つ。もう1つは何か自分をアピールするときに、「私が、私が…」じゃなくて、例えば相手の企業に私が入ったときに私はたぶんこういう価値が生み出せるという仮説を立てて、仮説検証する場所に、会議も、転職面接もやらなければいけないということでしょうかね。
おっしゃるとおりですね。よくプレゼンテーションをする機会があると思うんですけれども、これも相手によって話し方、話す内容を変えないといけないんですね。よく部長さんとか役員さん相手に、分厚い資料を持って細かいことをプレゼンされている方がいらっしゃいますね。私はプレゼン上手です、みたいな…。でも、そんな細かい話は聞いてなくて、偉い人ほど人と成りしか見ていない。逆に、相手の担当者レベルだと、リスクをマネジメントしたいですから細かいところを「どうやってやるんだ?」と聞いてくる。相手によっても関心事が違うから同じことはしゃべれないんですね。例えば、そんなことがあると思います。
よく経営者に対する共通言語と、現場にいる、例えばプログラマーさんに対する共通言語は、言語を変えなきゃいけないんで、特に中間管理職の人は翻訳作業をしてあげなきゃいけないですよね。それが経営用語で、「これからの中期経営計画の中における弊社の次期戦略商品は…」という話をエンジニアの人にしても「だから、僕らは何をすりゃいいんですか」という話になりますよね。この相対感覚とかね。
役員の人は、What とかWhyを知りたい。でも、担当者の人はHowを知りたいんですね。そこを間違えちゃうとうまいプレゼンテーションって……。どっちも大事なことなんですね、会社を運営するには。相手が聞きたいこと、知りたいこと、どういう役割なんだということがまずあって、自分が話す内容という順番ですね、常に。
ここで残念な人にいろいろ種類があるんだよとおっしゃっていて、まず他人との関係性をちゃんと持っているかどうかという軸と、もう1つはちゃんと仕事の効率を高く持っているかという、横軸、縦軸をとってみたときに、本当にできる人というのは、相手との関係性をちゃんと持って、相手の話を聞いて、相手が何を欲しがっているかを聞いて、さらに効率もいいから「できる人」と。
今度は、関係性がいいんだけど仕事の効率が悪い人は、かわいげのある残念な人。それで、効率はいいんだけれども人との関係性がないのは、冷たい残念な人。わかるな、これ。仕事の効率も悪いは、人との関係性も悪いは、本当に残念な人となっていますね。この4つあるんですね。
先ほど、やる気もあるし、能力もあるし、夜遅くまで働いているんだけれども、何かが間違っているために結果が出ない。その何かというのは、ここで今ショーンさんがおっしゃった2つで、1つは効率性ですね。もう1つは、相手との関係性ですね。この2つがバランスよくできるかどうかということだと思いますね。
よく職場では、効率的なんだけども相手との関係性が悪い人というのはどうしても嫌われちゃう。でも、仕事はできないけども相手との関係性はいい、こういう人はかわいがられるんですね。
なるほどね、それは確かに言えますよね。
「残念な人の仕事の習慣」の中で大目次が、ビジネス編、コミュニケーション編、時間の使い方編、働き方編、イノベーション編といろいろあるんですけれども、私がちょっと気になったのは2つ。できる人がやっている「損してトク取れ方式」。それからもう1つは、「二流の人は単純作業と嘆き、一流は実験の場として喜んで仕事をする」、これちょっと2点、伺いたいんですけれども。1つ目、「損してトク取れ」というのは具体的にはどういうことなんですか。
例えば、餃子の王将というお店がありまして、私は好きでよく行くんですけれども。時々、ある品を半額にしますということをやるわけですね。半額にすると一見お店にとっては損に見えるんですけれども、実はお店にとっては得なんですね。何が起こるかというと、ある一品を半額にすると、本当にたくさんの人がそのメニューを注文します。
集客効果があるということですね。
もちろん集客効果はありますよと。それに加えて、例えばレバニラ炒めが半額ですよというと、レバニラ炒めばっかりみんな頼むわけですよ。そうすると、調理の人はレバニラ炒めばっかり作りますから、レバニラ炒めを作ることに能力が向上していく。調理の腕が上がっていくんですね。スキルが上がっていく。それを、例えばレバニラ炒め作りの研修センターに送り込んで作るのと、お客さんからお金をいただいて一生懸命作るレバニラ炒めとは真剣味が違うわけですね。なので、半額にすると、もちろん集客効果もありますけれども、利益は減ります。一見損なんですが、集客だけじゃなくて従業員のスキルを上げていく。それを真剣な環境でやるということをつくっているわけですね。
つまり、人材教育コストっていうのは固定費として必ずかかってくるわけですから、それをOJT、オン・ザ・ジョブでやっちゃって、調理技術がそこで上がる。レバニラ炒めが作れるようになると。
生半可なOJTじゃなくて、みんなが頼むと。めちゃくちゃ混んでいるときに、レバニラ、レバニラ、レバニラという中で一生懸命レバニラを作っていくとうまくなっていくわけですね。
一見ディスカウント、ディスカウントして、このデフレの時代にさらにディスカウントするんだから損しているように見えるけど、実は得しているということですよね。
だから、今企業の中でも各事業部が、みんな俺が俺がと頑張っていくと全体としての利益は下がっていくような気がするんですよね。お互いに協調するというか、連結決算の思考を持たないと、こっちは得するんだけど、こっちはちょっと抑えておこうかとか。何か連結の発想を持たないとダメかなという気がしますね。
それこそ、環太平洋経済連携協定じゃないですけれども、自動車で得するんだけど、牛肉ではちょっと……しておこうかみたいなことをやらないと、みんなが俺が俺がとやっちゃうと全体の益としては下がりますよね。
本の中で私がこれちょっと気になった、「二流は単純作業と嘆き、一流は実験の場と喜ぶ」。
その心は?
例えばプロゴルファーの生活なんか見ていますと、テレビに映っている間はスーパープレーがバンバン出ているんですけれども、彼らの生活って実はものすごい地味なんですよね。ゴルフ場は大体山奥にありますし、朝は早いし、ホテルもないと。こんな中でどうしてもハイライトされるのは格好いいところだけなんですよね。そんな中でも一流の人っていうのは、テレビに映っている以外の時間をものすごく大事にしているんですね。
最近知り合った弁護士の方がいらっしゃいまして、その弁護士の方がおっしゃったんですけど、銀行員出身ですと。銀行員の方というのは札勘と申しまして、お札をうまく数える札勘のスキルというのがすごく大事なんですけれども、1年生のときはこんなくだらないことやっていられないというふうになめていたんですけれども、弁護士になると、現金でお金をお客様からちょうだいすることがあって、そうすると現金を数えると。そうすると、うまく数えられないと非常に恥ずかしいと。こんな話がありましてね。一見くだらなそうに見えるんですけども、どこでどうつながっていくかわからないから。
この単純作業をゲーム感覚というか、実験の場として喜ぶというので、私はすぐ浮かぶのは、松田公太さんでして、タリーズから参議院議員になりました、番組にも出てもらったんですが、彼は銀行マンで、ATMの中のお札の補填をやっていたと。彼はおもしろくてしようがなかったと。ストップウォッチを持って、今日は40秒でできた、明日35秒でやろうとか、楽しくてしようがないと彼が言っていたのがものすごい印象的でしたね。単純作業をクリエイティブなものとしてとらえる、そして仕事をするという考え方ができる人は1つの「残念じゃない人」なんですね。
山崎さんに続々とメールが来ています。トモさん。「私が残念」。そんなこと言わないで。「専門資格があって頑張っているんだけど、何か足りない、残念な人だ」と。山崎さん、これ、トモさんに。
例えばどんな資格をお持ちかわかりませんけれども、仮に英語でTOEIC730点を持っている2人がいますと。1人は、TOEIC730点のスキルを生かして外国のお客さんを獲得してきました。もう1人は、社内の翻訳部に行っていろんな人のドキュメントを翻訳する仕事をしていました。さて、どちらが経営者にとっては価値があるでしょうか。こんな考え方をしてみると、答えが見つかるかもしれませんね。
今持っているものをどういうふうに生かすとどんな価値が出るのかというところまでのプレゼンテーション、シナリオを考えて相手に伝えるということでしょうかね。
やっぱりトモさん、自分が学ぶこと、自分ができることを提供するのは、全体の自分の仕事のうち1割ぐらいだと思うんですよ。あとの9割はその仕事をする場所をつくる、舞台装置をつくることの方がものすごい時間がかかるんで、これも仕事ですものね。
山崎さん、残念な人にならないための三カ条とか、四カ条とか、何でもいいんですが、いただけるとすごくうれしいんですが。
重要な3つだけ申しますと、1つは仕事は塗り絵で考えるということですね。
2つ目は、やりたくないことをはっきりさせる。
3つ目は、常に「例えば」を考える。
「例えば」というのはわかりやすいんですけど、「塗り絵」というのはどういうことですか?
塗り絵というのは、要は一体自分が何がやりたいかというところから逆算して、何をやるべきか、何をやらないべきかということを考える。
まず輪郭をということですか。
輪郭をですね。
いきなりクレヨンを持つなと。
いきなりクレヨンを持ってぐしゃぐしゃっと塗るような仕事はダメですよねと。まずは輪郭を塗れば、ゾウならゾウらしく見えますねと。あとは間はシャーッと塗っておけばいいと。なので、効率化すべきところと集中して丁寧にやるところをきちんと見極めてやっていきましょうという話です。
森を見て、輪郭を決めて、そして木を見て、木を育てるという緻密な作業。
2番目のやりたくないことは?
いろんな仕事があると思うんですけど、自分が本当にやりたくないことをやっていると、やりたかったこともやりたくないふうに見えちゃったりするわけですよ。例えば、自分は営業の電話をかけたくないと思っているんだけれども、営業の成績を上げたいとしましょうか。そうだとすると、本当は営業の成績を上げたいんだけど、電話するの嫌だなとなって、本当のゴールが達成できないんですね。なので、どうしたら電話以外の手段で営業成績が上がるのか。これを考え始めるところからイノベーションが始まっていくんですね。
この本の中でおっしゃっている、環境を前提条件ととらえるなと。常にそれは変えられるものだと取り組んでいく人ができる人だと書いてありましたね。前提条件で変えられないんだから、うちの会社はしようがない、こんなもんなんだからと何でも言っちゃう。国が悪い、何が悪いと全部前提条件にしちゃうと。でも、それで儲かっている人いっぱいいますもんね。何が違うんだという話ですよ。
そして、いつも「例えば」で考える。
先ほど、リスナーの方から「社内評論家が多い」というメールがあったんですけれども、例えば「若者が残念だ」、「若者って誰ですか?」と考えていったときに、よく考えている人というのは、常に「例えば」が出てくるんですよね。でも、何となくイメージで話している、空気しか読まない人は常に「例えば」がないんですね。何となく「景気が悪そうだ」、「どこの景気が悪いんですか?」と聞くと答えられない。なので、何かイメージを1つ持ったら、例えば具体的にはどういうことなんだ、一体それは誰のことを言っているんだろうと考えていくと、よりいい仕事が見えてくるんじゃないですかね。
それと、「例えば=for example」と自分に「Why, Why, Why…」を10回ぐらいやると、相当本質に迫った答えが出てきそうな気がするんですけどね。「Why, Why, Why…」って10回ぐらいやると、意外と何にも残ってなかったみたいな、タマネギ全部むいたら残ってなかったみたいな……
ショーンさんのWhyと私のfor exampleを順繰りにやっていくと、かなり残念な人から抜け出せるようなきっかけになるんじゃないですかね。
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