ONAIR: 2005/10/16「希望って何ですか?」
玄田有史(げんだ ゆうじ)さん

東京大学社会科学研究所助教授
今年4月から東京大学社会科学研究所が始めた「希望学プロジェクト」の中心人物。現代の若者、ニートなどに関する書籍も多数出版している。

ホームページ「玄田ラヂオ」
「14歳からの仕事道」(理論社)

「ニート〜フリーターでもなく失業者でもなく」(幻冬舎)


今週のテーマ「希望って何ですか?」

岡田「今のニートの人達は、希望を見つける力がなくなってるんですか?」
玄田「もしかしたら、ある…かもしれない。彼らはちょっとした小さな失敗を大きく捉えてしまうんですね。『ま、いっか』って思えればいいんですけど、なかなかそうなれない人がそこで絶望してしまったりする」
岡田「真面目な人が多いってことですか?」
玄田「もう、圧倒的に。失敗って何か、というのをうまく感じられないというか…」
岡田「失敗をよくするために希望が必要なんですか?」
玄田「子供の頃の希望(夢)って1割くらいの人しか実現しないんですよ。でも、何か希望があったけど途中でなれないとはっきりわかって、じゃあこっちかなって修正できた人。挫折をした時にうまく修正できた人っていうのは、やりがいに出会えてるんです。いい仕事してるなっていう若い人に聞くと『凄くやりがいはあります。でも本当にこれが一番向いてるのかは分かりません』って結構みんな言うんですね。それ凄く好きで、やっぱり今やってる仕事にやりがいを感じてても『本当にこれでいいのかな』『もうちょっとこっちかな』って、常にいい意味で揺れてるんじゃないのかなぁ」

岡田「希望学のホームページで、三つのことを目的にあげてるって…」
玄田「聞かれると困っちゃうんだけどなぁ…」
岡田「聞いていきますよ(笑)。一つ目『希望学は希望についての共通言語の構築を目指す』。これは何ですか?」
玄田「答えないといけないもんね…。あの〜、希望を語り合うのって凄く難しいんですよ。希望には色々あって、実現不可能ものから、すぐ実現できるもの、行動に繋がるもの、繋がらないもの、そして社会の希望や個人の希望。いま何の希望を考えないといけなくて、どんな希望を失ってる人に何をすればいいかを少し分類したり整理したりして、希望について風通しのいい話をしたいなと思ってて…。希望っていう言葉をプレッシャーに感じてる人に『今、希望が見つからなくても大丈夫だよ』って言ってあげたいし…。偶然見つかることも多いですから。実際大きな希望に辿り着いた人だって、失望したり別の希望を持ったりっていう積み重ねだと思うんですよ。でも、希望を持てない人はどうやってそこに辿り着いたかを知らない。だからそういうヒントをね、見やすくしてあげたいなと」
岡田「では二つ目の『社会の変動が個々人の希望形成のあり方に与える影響を明らかにする』」
玄田「書かなきゃ良かったなぁ…」
岡田「載ってるんですもん(笑)」
玄田「あの〜、希望がないのはダメだとか言われがちな気がするんですよ。今、希望を持てない人が増えてる時に、怠け者だとか言うのはあまりフェアじゃない気がするんですね。やっぱり、そうなってるのには理由があるわけですし、社会の影響もあると思うんですよ。今、何でもかんでも自己責任とか、自分の力で頑張りましょうっていう傾向が強いですよね。もちろんそれも大事だけど、それだけじゃないってことを言うためにも、社会と希望の関係を考えていく必要があると思いますけどね」
岡田「じゃあ三つ目、『希望が社会に与える影響と、希望を通じて社会を改善する方策を考える』」
玄田「・・・・・パス!」
岡田「パス無しでお願いしたいんですけど(笑)」
玄田「あの〜、希望がない若者に対して、ないんだったらどうすればいいかっていうことを具体的に伝えていく必要があるんです。けしからんとか年金制度が維持できなくなるとか、それだけじゃ動かないですよ。それは子供を持たないってことと同じで、子供を持つことに希望を持てない人は、どんなに保育園を作ったりお金をあげても、(子供を)つくらないですよね。だから、希望を考えるっていうのは凄くあやふやで難しいけど、でもこれを無視するってことは一番大事な部分を語らずに考えるってことになっちゃうから、やったほうがいいんじゃないかなと思って…」
岡田「大人が見せてないってことですか。希望を」
玄田「僕はそう思いますね。希望がなくてもいいんだったらいいってところを大人が姿で示していかないといけないと思うんです。希望がないといけないという風潮になってきてるんだけど、じゃあ大人が希望を持って生きてきたかというと必ずしもそうではないしね」

岡田「先生にとって、希望とは何ですか?」
玄田「まぁ、ちょっとカッコいいこと言うと、風みたいなもんだよね。見えないけど確実にあるもの。仕事もそうだけど、追い風の時と向かい風の時って必ずあって、そんな中で自分の進むべき道はこっちかなとか、ちょっとこっちに修正しようかなとかを少しでも感じられるようになれば、もう少し人生を楽に生きていけるし。風っていうのは自分でも吹かすことができるわけで…、姿はすぐには見えないんだけど、やっぱり生きる上で大切なもので、『希望』っていうのを改めて考えていかなければならないと思いますね」

希望についてはですね、僕もすごく考えました。
ちょうど高校を卒業するぐらいですかね〜、大学行くかどうか悩んだんです。学校っていうものにはいっておいた方がいいとは思ったんですけど、仕事と両立をするのが大変だなと。大学はいつでもいけるか、というので大学は選ばなかったんですけど。そのとき仕事について考えて…。
その〜、やっぱり芸能界というのは保障がない。すぐ仕事がなくなるかもしれない…。この仕事は好きだけども、続けていったほうがいいのか、いけるのかっていうのを、正直すごく悩んだ時期があって…。好きな言葉とか書き留めたりして。デール・カーネギーとかね(笑)。仕事についての意気込みとか書かれているのが多いんですけど、そういうのもすごく読みましたね。

あの〜、意志が大事なんだとか、結構僕も固く考えてたんですけど。今、好きな言葉は、「何とかなる」「何とかする」。
よくインタビューで「10年後、何してますか?」って聞かれるんですね。なんか、こういう家に住んでてとか細かいことまで全部考えていると、本当にそういう家に住めるとか、ネイティブ系の本とかに書いてありますけど、僕は決めてないほうが面白いと思ってるんです。人生は決まってないからこそ面白いんだと。

「何とかなる」とか「何とかする」って思うと方向性も前に向いてるし、前に向いてるなら希望だと思うし。希望っていうのは確実にあるものなんだけど、見えるものではないし。希望っていうのは、発見するものだと…。覚悟を決めて…、日に日に発見していくってことが希望に繋がるんじゃないかと…、今日は感じました。

1.LISTEN TO THE MUSIC
DOOBIE BROTHERS

2.HOPE OF DELIVERANCE
PAUL MCCARTNEY

3.WELCOME TO MY LIFE
SIMPLE PLAN

4.THE RIVER OF DREAMS
BILLY JOEL

5.HEAVEN
BRYAN ADAMS


「私はちょっと前にニートについて考える機会があったので、色々考えてたのですが、私の結論は『ニートの人には夢を持つことが大切だ!』でした。でも、今日のラジオを聞いてニートの人はそれ以上に考えが進んでいて、『夢』があっても、今の時代は『希望』がないからニートになってしまうことを分かることが出来ました。私の場合は、今受験生でずっと夢が無かったんですが、最近やっと自分の本当にやりたいことがわかりはじめて、夢を持つことが出来ました。そのことで将来にも『希望』を持つことが出来たばっかりだったので、今日のラジオを聞いてちょっと不安になってしまいました。でも、最後に岡田くんが言っていた『何とかなる、何とかする』この言葉を聞いて、私もこのまま自分の夢を持ち続けて、少ない割合の人しか自分のやりたいことが出来ない世の中だけど、『何とかしたい!』と思いました」(きょうこさん)

「私は3ヶ月前までニートでした。いろいろなことが重なってうつ病のようになってしまって働けなくなってしまいました。働きたい気持ちはあるのに働けませんでした。玄田先生の言うとおりだったのかもしれません。心療内科にも通っています。今はヨーカドーでバイトをしています。これからお金をためて大学に行こうと思っています。学校の先生になるのが夢なので頑張りたいと思っています。ニートから脱出できた理由はよくわかりません。きっといくつもの理由が重なって脱出できたのだと思います」(優さん)

「私は現在ニートです。ついこの間まで正社員で働いていました。しかし、腰を痛め、体調不良という事で片付けられ、会社から自主退職を命じられた21歳です。退職を求められた時は本当に絶望でした。自分には何にも出来ないと感じ、無力でした。でも、新しいアルバイトを探し、小学校のときから描いていた夢、役者を目指し頑張っていこうと思います。それに伴い、岡田さんのような不安も抱いています。しかし、岡田さんの言うように『何とかなる』ですよね!!今の私にとって、とても重要でエネルギーの源となるお話でした。ありがとうございました」(碧イルカさん)

「『希望』?そんなとらえどころのないテーマをどう料理して番組にするのかしら…と思って聴いていたら、お見事でした。学歴やお金が幸福の絶対条件ではないことに気づいた人は、価値観の揺らぐ日本で何をどう頑張ったらいいのかと悩むのでしょう。人間関係をうまく結べることが『鍵』になりそうですね。『有り難う』を増やしていくことや、利害関係に囚われない友人と対話することなど、玄田先生のお話には悩んでいる人へのヒントが沢山ありました。私のパートナーはニートではないけれど、希望を前向きに料理出来辛い性格で、『うつ』をわずらっています。今回の放送を聴いてもらいたいものですが、素直に聞くような人だったら、病に陥ってはいないのでしょう。彼が聴く耳をもち、心を解放してくれる日まで気長に待ちます。『鬱を乗り越えた時』を楽しみにしています。遠い未来の展望や希望は『なんとなく』考えていれば、いつか転機が向こうからやってくるのかも。考えすぎずに、足元にある『何とかしなくちゃ』を淡々と『何とかする』ことの積み重ねが人生なのかなと思いました」(ヘスペリジンさん)

「『希望』のラジオを聴く前に、新聞の番組のところに『若者に問う、希望ってなんですか?』と書かれていたので、その日は「希望かぁ、希望ねぇ」とずっと考えていたのですが、ラジオを聴く前に出した答えというのは、『生きていく糧』ということでした。どんな小さなことでもいいのだけれど、希望が無くなったら、生きていけないだろうと。実際、ラジオを聴いたら、『希望学』という新しい言葉を聴き、驚きました。ただ、ニートと呼ばれる世代が仕事もせず、勉強もせず、だらしない、という考えが蔓延している中で、先生の『すごく真面目で、すごく真剣に自分たちのことを考えている』という言葉に、ほっとした、というか。こういう風に若者のことを理解しようとしてくれる人、というのは非常にありがたい(有り難し!)ことだなと思うし、やはり、こうして理解してくれようとしている人に、若者は本音を話したり、信頼したりしたい、と思うのだと思います。世の中全体がそうあればいいなぁ、なんて思いますが、なかなかそういう訳にはいかなそうですね」(A-kiさん)

「『希望って何?』は、今まさにフリーターである私にとってものすごく興味深いテーマでした。将来や生き方、仕事について真剣に考えすぎるばかりに、立ち止まったまま前に進めないでいる…岡田君が言うように日本の若者は『今』を見つめる傾向が強いようだけど、そこは本当に自分に当てはまります。それは、今さえ良ければ…という刹那的な生き方とはまた違う。人生を日々の積み重ねと考えたうえで、一日一日を大切に生きたいという希望。ただ、今を生きたいという『希望』が強すぎて、どう生きたいかというところで考えすぎていい意味での妥協ができずに踏みとどまってしまう。希望はあるんだと思います。絶望したら人は生きていけないと思うから。ただ、踏み出す勇気がなくて、やってみなきゃ分からないのにやる前から諦めてしまうから、自分に向いてるかどうかも結局はわからない…岡田君の言う『なんとかなるさ』でやってみて、なんとかならなければ、そこで初めて方向転換をする。それは、挫折ではなくて、新たな、あるいは本当の自分を見つけるチャンスかもしれないとは書いたものの、言うは易し、行うは難し…」(みーちゃんさん)

「私は生まれた時から持病があります。だから私の希望はいつもずっと生きていられること、明日を元気に笑って迎えられることでした。しかし、同世代の同じ病気を持っている友人が何人もいなくなりました。その時には私も本当に希望が持てませんでした。しばらく経った今では、その友人の分まで生きること、同じ病気の人の希望になることが私の最大の希望です。その為に大学へ通い、沢山勉強し、アルバイトも行い、ジムにも行って体を鍛えています。病気があってもいろんなことができるということを証明したいです」(たまちゃんさん)