J-me CINEMA CIRCLEの部員のみなさんと一緒に創るシネマプログラム

CINEMA CIRCLE

JUNE 30 2017

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どうしても観て欲しい映画  「ヒトラーへの285枚の葉書」

最終回の今日のテーマは・・・「どうしても観て欲しい映画」です!

●京八さんからは「サボテン・ブラザース」
「すっごい昔だけどよく覚えている。『ハリウッドをクビになった芸人トリオ“スリー・アミーゴーズ”の活躍を描いた作品。この作品が、今もなお敬愛してやまない大好きな俳優S・マーティンとの出会いでした。チェヴィー・チェイス、マーティン・ショートとの掛け合いも見事なこの作品。必見です。』との事です。マーティン・ショート、それからチェヴィー・チェイスどうしてるのかなっと思って取り上げました。ありがとうございました!」(部長)

●たかぐらさんからは「七人の侍」
「『エンターテイメントと作品性がすごく融合した作品。メイキングも見ました。とんでもない作りこみと撮影。試写でお金がなくて途中までしか見せず、続きを見たかったらお金出してくださいという要求が通ったという逸話もすごい。黒澤明を見ない人もこれは見て欲しいという1本。』、この試写っていうのは社内試写ですね。ようは予算がこれだけだからと言われていたのに使っちゃった。最後まで作るっていうんだったら金だすよと黒澤さんが言ったんですね。しょうがなくお金を出したら大ヒットした。4Kでリマスターされた作品を大スクリーンで観たのですが、それはすごい迫力ですよ。本当に黒澤作品だけじゃなくて、小津でも、溝口でもみんなそうですが、リマスターして本当に大きな画面で観せて欲しいですね。常設館を望んでいます。ありがとうございました!」(部長)

●なのはなさんからは「みかんの丘、とうもろこしの島」
「『アブハジアがグルジアから独立を求めたアブハジア紛争中、どちら側にもつかない老人の生き方を描いた2作品。映画の素晴らしいところは、感性だけでなく知識も得ることができること。位置さえもはっきり分からない国を、この作品を通じて知ることができました。部長のおススメのこの作品はぜひセットで♪』という事です。すごく嬉しいですよ、実は。この2本をコラムで紹介しました。どのくらいの人が行ってくれるだろうと思っていたら、ちゃんと観て下さっていて感激です。ありがとうございます!」(部長)

●ひでさんからは「ディア・ハンター」
「『マイケル・チミノ監督とデ・ニーロ、長い上映時間ですが、やっぱり映画館でどっぷりと戦争の重み感じながら、打ちひしがれて見て欲しいです。PTSDなんて言葉も知らなかったあの頃でしたが、ベトナムの後遺症で苦しんでいる方は多かったんでしょうね。』という事です。この作品を観ていない人間はいるんだろうかと思っていたら、目の前にいました。これは必見中の必見ですから観て下さい。お願いしますよ!」(部長)

●みみだこさんからは「裏切りのサーカス」
「『このコーナーでは一番アツく語ったかもしれませんが、正統派で、シリアスなスパイ映画が滅んだとお嘆きの貴方に心をこめておすすめします。ガチです。男の世界です。お色気美女は出ません。一回観たら唸り、二回目に観たら少し気づきます。すっかり娯楽系でもお馴染みになったコリン・ファース、ゲイリー・オールドマンといった渋めどころにトム・ハーディ、ベネディクト・カンバーバッチとこの数年でぐーんと売れたイギリス俳優がどどんと出演。私のATB(オールタイム・ベスト)でございます。』という事ですが、この作品は書かれている通り、1回見ただけじゃさっぱりわからない。2回目で何となく輪郭がわかったかも。3回目で、あっこんな話だなっていうくらいなんですが、それでも目が離せないくらいおもしろいです。これご覧になるといいですよ。ありがとうございました!」(部長)

たくさんのご参加ありがとうございました!!

そして、今回部長が選んだ「どうしても観て欲しい映画」はなのはなさん他多数があげてくれた、「ヒトラーへの285枚の葉書」です!!

「この映画は、ドイツ、フランス、イギリスがお金を出している。日本の公開では、ドイツ大使館が後援に入っている。これ大事なポイントです。ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録をもとに執筆した『ベルリンに一人死す』というタイトルの小説、これを映画化した作品なんです。まるでフィクションでもないし、まるでノンフィクションでもないという作品です。非常によくできている。ドイツが舞台、ようは自分の国を告発するような映画なんですね。ドイツという国はずっと戦争責任については追い続けないといけない。ですから、わざわざ日本公開にあたってドイツ大使館が後援に入ったりする。日本の場合はどうかな、とちょっと考えてもらえると嬉しいですね。 フランスがドイツに降伏した1940年6月。ここでは、ベルリンで暮らす労働者階級の夫婦が主人公です。最愛の息子が戦死したとの知らせが届き悲しみに暮れる。自分の母国が我が息子を奪ってしまった。どうしても割り切れないんです。でもどうしていいのかわからない。何かやらずにはいられない。小さいことから何か起こそうとはじめる。それがこの映画です。ドイツ国内で起こっていることですから、ナチス政権はそれを許すわけにはいかない。ですからなんとかしてこの二人を見つけださなければいけないといという状況になるという映画です。主演はエマ・トンプソンとブレンダン・グリーソン。この二人です。あぁ、最後にいい映画を紹介できてよかったです。」(部長)

映画「ヒトラーへの285枚の葉書」は7月8日(土)公開です。

そして、この番組と連動した映画のコラムも毎週アップしていきます。今回は、「しあわせな人生の選択」について書いています。余命宣告映画です。これも軽い映画じゃない、力を入れて書きました。コラムもぜひ読んで下さい!

さて、2年3ヶ月続きましたシネマサークル。本日が最終回です。 みなさん、たくさんのご参加本当にありがとうございました!

ヒトラーへの285枚の葉書

舞台は1940年6月。ベルリンの古いアーパートで暮らす労働者階級の夫婦オットーとアンナのもとに最愛の息子ハンスが戦死したという知らせが届く。ハンスが心のよりどころだった夫婦は悲しいにくれどん底に沈む。そんな中、ある日オットーはヒトラーに対する批判を綴ったポストカードを密かに街中に置く…。

7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開
監督:ヴァンサン・ペレーズ
出演:エマ・トンプソン(「ハワーズ・エンド」でアカデミー賞主演女優賞)、ブレンダン・グリーソン(「未来を花束にして」)、ダニエル・ブリュール(「グッバイ・レーニン!」)、ミカエル・パーシュブラント、モニーク・ショメット
2016年/独・仏・英/英語/103分/原題:Jeder stirbt für sich allein
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム 宣伝Lem 公式サイト:http://hitler-hagaki-movie.com/
(C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies/ Alone in Berlin Ltd / Pathé Production / Buffalo Films 2016

大倉眞一郎 おおくらしんいちろう

1957年熊本生まれ。
80年慶應義塾大学文学部東洋史学科卒業。大学では印度哲学を独学。同年、広告代理店電通に就職。88年J-WAVE開局に関与。その後97年までロンドン駐在の後、電通退社。同年10月からアジア各地をカメラ片手に旅して回る。その後、広告会社「タイノス」を設立。ユニクロのすべての広告活動を手がける。2007年9月タイノスを解散。再びアジアをプラプラすることになる。ヨーロッパ勤務中に身につけた世界市民的視野に期待。2003年09月に木楽舎より写真旅行記「漂漂」を出版。怒れるオヤジと称されるが、その語り口はソフトで定評がある。