J-me CINEMA CIRCLEの部員のみなさんと一緒に創るシネマプログラム

CINEMA CIRCLE

JUNE 09 2017

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カンヌで賞を取った大好きな作品  「セールスマン」

今日のテーマは・・・「カンヌで賞を取った大好きな作品」です!

●もちさんからは「ディーパンの闘い」
「第68回のパルムドールですね。『生き延びて行く為には生まれた国、家族、住居、職業等々、全て自由ではないことを受け入れなくてはならない運命。そんな中でも自分を失わずに、むしろ淡々とこなして行くディーパンの心の強さには感動します。演じた役者さんたちに経験がないというのも驚きでしたが、その分自然体が真実味を増したのかもしれません。』ということです。」(部長)

●dkさんからは「麦の穂をゆらす風」
「第59回のパルムドール。『ケン・ローチ監督作品。アイルランド独立戦争後のある兄弟の物語。内戦という価値観は、どれほど醜くどれほど悲しいことなのか。心をまるごと潰されるような悲しみ、もう決して立ち上がることができないような運命。いまも続く世界の内戦。この映画の持つ、絶対的な暗黒はいまも継続的に続いていると思うと、言葉が出てこない。見るべき映画。』ということです。はい、その通りですね。ケン・ローチ監督って私すべて好きなのですが、2度パルムドールをとっていますね。先日紹介した『わたしは、ダニエル・ブレイク』もケン・ローチ監督なんですが、もうお歳でさすがにこれ以上は撮れないと発表されていますから寂しいです。日本でまだみれていない作品があるので、それを探してみていくのも一つですね。」(部長)

●てつ@さんからは「ファーゴ」
「『第49回カンヌ国際映画祭監督賞。コーエン兄弟の作品を初めて観たのがこの作品で、それからすっかり虜になりました。すべてが新鮮で、映画がますます好きになりました。』ということです。1996年の作品ですから20 年以上前の作品ですね。」(部長)

●「ウエスト・サイド・ストーリー」には、ふたござうるすさん、mattsuankoさん他多数!
●「ニュー・シネマ・パラダイス」には、なまはげさん、キイロさん、月のうさぎさん、neroさん他多数!
●「第三の男」には、ひろとしさん、pomptimeさん、cowboy heroさん他多数!

今週も、たくさんのご参加ありがとうございました!!

そして、今回部長が選んだ「カンヌで賞を取った大好きな作品」は「セールスマン」です!!

「2016年、第69回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で男優賞と脚本賞を受賞した受賞した作品でありつつ、2017年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞しました。イラン映画です。監督はアスガー・ファルハディ。この監督、他にもいい作品をたくさん撮っています、『別離』、『ある過去の行方』もそうですね。非常に国際的に評価の高い監督です。そして、『彼女が消えた浜辺』、『別離』のタラネ・アリドゥスティが主演です。すごく綺麗な方、監督アスガー・ファルハディと女優のタラネ・アリドゥスティは、アカデミー賞の授賞式へのボイコットを表明して出席しませんでしたね。
この作品、最初はイランのセールスマンの映画だと思うのですが全然違います。まず冒頭のシーンからすごいんですよ。いきなり住んでいるアパートが倒壊する、そこが結構リアル、見事に裏切られる。内容は、小さな劇団に所属している夫婦(夫は教師)、この二人が作家アーサー・ミラーの戯曲『セールスマンの死』をやっている。そんな中住んでいたアパートが倒壊寸前になっているので新しいところを探す。その後、紹介されたところに入ります。入ったところで夫人がシャワーを浴びている最中に怪我をする、というところから話は思わぬ展開に転がっていきます。これ、いろんなことが面白くて、『セールスマンの死』ってご覧になったことありますか?2回映画化されていますが家庭の崩壊がテーマです。この映画の内容と『セールスマンの死』の内容がどこかでクロスしてきます。これ、見るしかない!もし見なかったら大変な作品を見逃したとあとですごく後悔することになります。私の場合、タラネ・アリドゥスティの美しさが頭の中に残っているのですが、それを除いたとしても必見です。私の遺言だと思って見に行って下さい」(部長)

映画「セールスマン」は6月10日(土)公開です。

そして、この番組と連動した映画のコラムも毎週アップしていきます。今回は、「ある決闘 セントヘレナの掟」について書いています。西部劇ですね、1880年代アメリカを舞台にした映画です。コラムもぜひ読んで下さい!

さて、次回は「格差恋愛映画」をテーマにコメントを募集します!
みなさんのご参加、書き込みお待ちしています!!

セールスマン

教師とその妻は小さな劇団に所属する役者の夫婦。戯曲「セールスマンの死」の舞台の上演を間近に控えたある日、引っ越したばかりの自宅で妻が何者かに襲われる。事件が表沙汰になることを嫌がり、警察へ通報しようとしない妻。やり場のない苛立ちを募らせる夫。業を煮やした夫は、やがて自分で犯人を探し始めるのですが…

6月10日より、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー!
配給:スターサンズ/ドマ
公式サイト:http://www.thedancer.jp/
(C) MEMENTOFILMS PRODUCTION–ASGHAR FARHADI PRODUCTION–ARTE FRANCE CINEMA 2016

大倉眞一郎 おおくらしんいちろう

1957年熊本生まれ。
80年慶應義塾大学文学部東洋史学科卒業。大学では印度哲学を独学。同年、広告代理店電通に就職。88年J-WAVE開局に関与。その後97年までロンドン駐在の後、電通退社。同年10月からアジア各地をカメラ片手に旅して回る。その後、広告会社「タイノス」を設立。ユニクロのすべての広告活動を手がける。2007年9月タイノスを解散。再びアジアをプラプラすることになる。ヨーロッパ勤務中に身につけた世界市民的視野に期待。2003年09月に木楽舎より写真旅行記「漂漂」を出版。怒れるオヤジと称されるが、その語り口はソフトで定評がある。