FUTURISM

ON AIR DATE
2017.04.16

ゲストは、テイ・トウワさん。

人工知能がヒットソングを作る!?
音楽の未来について、お話伺います。

SONG LIST

  • Best to You
    Blood Orange
  • Exformation
    TOWA TEI
  • Brand Nu Emo
    METAFIVE with MIZUHARA SISTERS
  • I.Q.Infinity
    Sweet Robots Against The Machine
  • YOLO
    TOWA TEI with Leo Imai & Inara George
テイ・トウワ さんとの話を通じて見つけた、未来を創る鍵。
それは、
<エモーション>

情緒、感情、感動。
当たり前のような人間の機能。
でも、その当たり前の機能こそが人間固有の機能であること、人間がこだわるべき機能であることを、われわれは強く自覚するようになるでしょう。

ビートルズ風のメロディーとコードを人工知能が作り、アレンジ等を人間が行って曲に仕上げる試みが話題になりました。
人間の琴線、感動にメカニズムがあるとすれば、
創造性を土俵とする音楽の世界でも人工知能が活躍し、
人間を感動させる音楽を作り出す日が訪れるかもしれません。

それに対して、テイ・トウワさんは「感動させる法則というものはない」と考えています。
シナプスに流れる情報が微弱電流として脳に伝わり人間は感動する。
「その中に一定の法則があったとしても、全てを解明することはできないでしょう」と言うテイ・トウワさん。

数え切れないほどの曲を聴いて、自分でも聴いたことのないような曲を作ろうとする原動力。
品川で育ってニューヨークで過ごし、いまは軽井沢へと活動拠点を移して喧騒を遮断。
テイ・トウワさんにしかない経験値や環境から紡ぎ出される音楽を、人工知能が全く同じように再現できるかといえば難しいでしょう。
テイ・トウワ風はできてもテイ・トウワにはならないし、
そもそも感動のメカニズムを計算し尽くして音楽を作っているわけではありません。

同じ曲でも、聴く場所、聴く手段によって印象が変わってきます。
運転中の車内ラジオから流れてたまたま聴いたとき。
友達と一緒にライブハウスで聴いたとき。
プレゼントされたCDで聴いたとき。
一つの曲に多様な変数が作用し、「何が感動する曲なのか」も定まるところがない。
感動のメカニズムの狙い撃ちも、一筋縄では行きません。

“SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINE”は、
1996年にテイ・トウワさんがスタートした別名義のプロジェクト。
「このコンセプトこそがこれから必要なのだ」と僕は密かに思っていて、
番組の中でテイ・トウワさんに告白しました。
機械の無機質さに抗うような甘いテクノロジー。
僕が志向しているのはそのようなテクノロジー、
そして人間や社会です。

テイ・トウワさんは、「買って封を開けるわずか数秒間ですらエモーショナルにしたい」と考えながらアルバムを作ります。
僕も、ジャケットの紙の質感を確かめ、付録のステッカーをあれこれ眺め、アルバムを聴くまでのイントロを楽しんでから音の世界に入り込みます。
ダウンロードも便利ですが、この時に感じるエモーションは捨てがたい。
いや、捨てられません。

日常の中にエモーション。
せっかく人間なのですから、たくさんのエモーションに浸らなければ損です。

小川 和也