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2017.08.25

第4回ゲスト:手塚貴晴(建築家)

<こどもゴコロと建物づくり>

Licaxxx:手塚貴晴さんの有名な作品といえば、立川にある世界でもっとも楽しい幼稚園と言われる「ふじようちえん」。ドーナツ型をしていて屋根の上で子供たちが遊んだりできるのが特徴かなと思うんですけど、このプロジェクトはどういうところから始まったんでしょうか?
 
手塚:グラフィックデザイナーの佐藤可士和さんと楽屋で一緒になった時に意気投合して、今度何か一緒にやろうって話していたんですよ。そうしたら、ある時電話がかかってきて。それが「ふじようちえん」のプロジェクトだったんです。うちの子供たちをみていたらテーブルのまわりをぐるぐる回っているんですよ。それがねずみみたいで面白くて、これだったら、子供たちずっと楽しいだろうなって。単純な発想から生まれたんです。今でも最初のスケッチを描いた瞬間、おぼえてますね。中央線の武蔵小金井のあたりを通った時に、手に持っていた封筒に書いたんです。

Licaxxx:幼稚園ってこどものための建築だとおもうんですけど、実際にご家族やこどもがいて、発想が生まれる建築って他にもあったんですか?

手塚:身の回りにあるものを見ていれば、必ず答えがあるって思っているんです。だって、幼稚園ってこどものための施設だから、こどもみていればわかるじゃんって。みんな当たり前の答えが目の前にあるのにみえてないんだよね。ハーバード大学でレクチャーしたときに、ハーバードの学生が、「どうやったら手塚さんみたいにこどものことわかるようになるんですか?私も勉強したい!」といったんですが、「それは簡単だよ、まず最初にガールフレンドみつけて、結婚して、こどもができれば全部わかるよ」と伝えたんです。全部経験なんです。建築って全部そうで、わたしは、ピアノが好きでピアノを弾くんだけど、ピアノがわからないと、ピアノのための空間がわからないと思うし、全部そういう当たり前の体験を元にして作っていくと、豊かで本物のおもしろいモノを作っていけると思うんですよね。

Licaxxx:たとえば、お仕事であまり経験のないものの建物の依頼がきたらどうしますか?

手塚:経験したことないことだと、おもしろい!とおもってすぐやりにいくんですよね。なんでも興味をもって自分で体験していくと新しいことが見つかっていく。それがとてもおもしろいんです。

Licaxxx:社会における子供の存在って手塚さんの中であったりしますか?

手塚:わたしはこどものために存在していると思っています。うちの娘が「パパって命より大切なものってある?」ってきいてきて、「それはブナちゃん(娘)とシイくん(息子)だよ」って言ったんです。そうしたら「どうして?」っていうから「人間はそういう風にできているんだよ」って。結局人間って命をつなぐために生きているから、こどもより大切なものってないとおもうんですよね。こどもができるとこども中心にまわっていくし、それがすごく楽しいんです。最初のこどもができたときに、私の親友が「あなたはこれから10年間、もっともすばらしいときを過ごすんだ、だけどそれが10年しか続かないんだ。それを逃しちゃだめだよ」って。こどもができるとものすごく大変で、自分の人生じゃなくなってしまう気がするんだけど、ふと気がつくと、死ぬときに、いつ自分が一番輝いていたかな、っていうと、こどもを育てているときじゃないかなって。そのために人間ってあるんだろうなって思うのが私の感覚です。こどもができたら、自分のこどももかわいいし、例えば保育園とかいって、ほかの子供達が組体操しているのをみるだけで、涙がでるほど感動しちゃう。人間ってこういうものかな、命をつなぐために存在しているって思うんだよね。

Licaxxx:お家でお子さんと接するときって、愛情に溢れてまくっているんですか?

手塚:溢れてますよ(笑)帰ってきたら抱きついちゃうし、うちの娘ももうすぐ15歳なんだけど、帰ってきたら飛びついてくるし。親子のセパレーションなんてありえない!せっかく部屋を分けたのに、夜になると息子も娘もベットにもぐりこんできてねれないっていう(笑)

Licaxxx:めちゃくちゃ仲良いですね!反抗期なんてないでしょうね!

手塚:ない、反抗期なんて存在しない!
<奥様である建築家:手塚由比さんについて>

Licaxxx:奥様はどんな存在でしょうか?

手塚:うちの奥さんは、わたしが一生懸命作った図面や模型を、ペンやカッターでめちゃくちゃにしちゃうんです(笑)でも怒る気になれなくて、奥さんのいうことは的を得てるんですよね。よく言っているのは二人でいいと思わなくて、どうして世の中がいいと思う?って。だからうちの奥さんが作ったものでも、素直に意見をいうようにしていて、お互いに認め合う。建築家が夫婦でやるとうまくいかないってよく言われますが、うちの場合はそうじゃないですね。二人でやっていないとうまくいかないですね。私はどんどんいろんなものを作ってしまって、突拍子もないもののできるんです。そんなときにうちの由比ちゃんがいいっていうかどうかが大事なことで、いいっていったら、進めます。だから一人で建築やっている人ってえらいなーって思います。うちの奥さんがいないと今の建築はできないです。当たり前の感覚を二人で確かめ合っています。建築って今までみたことないものってカンタンにできるんですけど、だけど、ありそうでなかった当たり前のものを作ると、それは世の中の役に立つんです。そういうのを作るときは二人てやってものすごく価値がありますね。
<家づくりと社会>

Licaxxx:時代、時代で社会の空気感とか、人と人との関係や家族とのあり方など変わっていくと思うんですけど、今、必要かなって思っている建物ってありますか?

手塚:開いた建物をつくること。外との適切な関わりがあるっていうか。日本って残念なことに、軒の文化を失っちゃったんですよ。軒っていうのは昔の言葉で”軒を貸して母屋を取られる”って言葉があって、どういうことかというと、軒を貸す文化ってのがあったんですよ。それがなくなったから、人に対して不寛容な町ができたんです。雨降ったっていくとこないでしょ?そう言う時に町に軒があるといろんな人を受け入れる場所ができるじゃないかと。”ふじようちえん”をつくったときもそうだけど、人が入りやすい建物を作ろうとしていて、できるだけ壁がないっていう話とつながっているんだけど、日本ってどこいっても快適で、そうすると、人が入ってでてってやっていくと、そういう社会ができるんじゃないかと。今って悲しいことに、自分がほかの人とどう違うか、とか、ほかの国とどう違うかってことをやっているから、悲しいことが起きたりするんですよね。その時にみんな仲間になって軒の下にいれて、お互いに餅を食べるような、そういう文化ができるとたぶん、建築が世界を平和にできるかなって思っています。誰もがきて、当たり前に友達になれるような、そういう建物の在り方が一番求められているんじゃないかなと思います。

<建築の未来>

Licaxxx:建築家としてこの先、世の中をどうしたいって思いますか?

手塚:私が今やりたいことは、いろんな人を受け入れる建築を作りたい。多様性を大事にしています。どの国の人がきてもくつろげるような建物を作りたい。今、うちの事務所はできるだけ、世界中の人を採ろうとしていて、ポルトガル、中国、メキシコなどいろんな国から来ています。そうして見ていると人間って違いがないんですよね。いろんな建築を一緒にみていると、みんな一様に喜ぶんです。インドの人はこういう建物が好き、、中国の人はこうっていうのは間違いで、人間は一種類しかない。それを感じられるような建築を作って行きたいです。
<建築家:手塚貴晴のSTYLE>
 
 建築家になってよかったな、とおもうことは、自分のままでいられるところ。偽る必要がない。
 自分のいいたいこといって、自分のやりたいことやっていたら、
 お金をくれる人がいて、みんな喜んでくれる・・・これはすばらしい職業だと思いますよ!
 生まれ変わったらもう一回建築家をやりたいです。
 
              建築家:手塚貴晴のSTYLEは・・・あるがまま
<手塚貴晴さんを迎えて>

しゃべってて本当に”あるがまま”な感じがしましたが、人間味に溢れた方ですよね。人間のための建物をつくっているので、そういう人じゃないと作ってほしくないな、と思いますし、普段生活していて気づけない当たり前になっていることをしっかり見えている人がつくる建築は問題解決につながっていくというか・・・いつか手塚さんに自宅を設計してもらえるようにがんばっていけたらと思います。